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Last Update 2012/08/16 21 55 44 《バルキリー燕》 属性 赤 移動色 ●●●● 攻撃 13 能力 [戦闘時]発動モンスターカードを[戦闘支援]カードに使用できるあなたと対戦相手の[戦闘支援]カードが同属性の場合、両者の[戦闘支援]カードを無効化し、攻撃値が3倍になる(秘技 燕返し) レア VR 種族 精霊 耐久 17 使用した戦闘支援カードが両者とも同属性であれば両方とも無効化し、代わりに自身の攻撃値を3倍にするというユニークな能力(以下燕返しと表記)を持つ。 これは戦闘支援魔法であっても例外ではないため、状況次第では勝ち確定を作り出せる。 ただし基本攻撃値は13とかなり低いので育成や戦闘支援による補助はほとんど必須と言える。 育成なしだと燕返しが発動した場合の攻撃値は39なので、支援なしでも耐久値が40以上になるモンスターに対しては分が悪い。 また、相手からすると下手に支援を使って燕返しを発動されると被害が大きくなるため支援を使用しない傾向にある。 そのため、燕返しを発動できなければ勝てないような戦闘は仕掛けない方が無難だろう。 相性のいい支援としては《アンデッドソード》があり、相手が戦闘支援魔法ならば燕返し、支援モンスターでも耐久値上昇や避けには勝てる。 ただし、スタック速度の関係で《かすめ取り》と《封じ込め》に対しては燕返しを発動できないので注意が必要。 《背水の陣》ならば両方に対応できるため一緒に採用するのも良いだろう。 侵略においては非常に強力だが防衛時には逆に燕返しを狙われるため戦闘支援を活用できないことが多い。 それでも基本耐久値が17と高めで、燕返しが発動すれば相手の支援を無効化できるためオーバーキルはされにくい。 また、《封じ込め》を使用すると対戦モンスターの戦闘時発動能力無効化と燕返しを両立することができる。 その場合、《封じ込め》の耐久値+3は発動しないため未育成だと撃破されることも少なくないが、逆に育成してあれば非常に強固になる。 短所もあるが長所の方が大きく、移動値も4あることから気軽に採用できる優良カードだ。 ちなみに《カードブレイク》が赤属性以外を対象とした能力なのはこのカードのせい。 相手が赤属性モンスターでどちらかが《縛りの呪い》を使用した場合の能力無効化や燕返しの関係は《封じ込め》と同じ。 ▲ 移動4で防御17とスタッブスポークの餌としても最上級。バルキリーレーナ形無しである。 - 名無しさん 2010-10-25 16 15 46 名前 コメント
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#blognavi ルセリアを流した精霊界の付近に奇妙な穴が発見された。 調べていると奇妙な電波を受信した、らしい。 俺には何もわからなかったがなにやらシャード、とかいうものの共鳴が起きたそうだ。 そういえば深月が大きく鳴動していた。何か関係があるのだろうか。 そこからは慌しかった。 世界律がどうとか、イデアがどうとかいう話の後、 ダイダロスを補修し、戦艦へと復帰させた。 そして彼らは自分達の世界を救い、取り戻すために旅立った。 アースガルドには広大な空き地が残った。 ノルンはアースガルドの大規模改修工事をでっちあげ、一旦閉園することを決めた。 自分達の世界を救う使命は理解できるが、それでも別れは寂しいものだ。 彼らが無事使命を完遂できることを祈ろう。 カテゴリ [来訪] - trackback- 2011年10月13日 00 31 34 #blognavi
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編集する。 2021-12-08 18 59 46 (Wed) - 選択肢 投票 この作品はネ申 (1) 良かった (5) 普通 (0) 微妙 (0) いまいち (0) 最悪 (0) 戦場のヴァルキュリアとは、PS3用のゲーム。アニメ化されている。 ストーリー 登場人物 用語・設定・場面・解説 リンク内部リンク 外部リンク 討論用 情報収集 編集者用ミニ編集参加(文の提供・嘘・誤字等) 出典、参考 ストーリー 登場人物 戦場のヴァルキュリアの登場人物 用語・設定・場面・解説 戦場のヴァルキュリアの用語・設定・場面・解説 リンク 内部リンク 戦場のヴァルキュリア 戦場のヴァルキュリアの登場人物 戦場のヴァルキュリアの用語・設定・場面・解説 外部リンク 戦場のヴァルキュリアSEGA TVアニメーション「戦場のヴァルキュリア」 上へ 討論用 名前 コメント すべてのコメントを見る 編集する。 2021-12-08 18 59 46 (Wed) - 情報収集 トラックバック一覧 trackback テクノラティ検索結果 #technorati 口コミ一覧 #bf 関連ブログ一覧 #blogsearch リンク元 #ref_list 上へ 編集者用 ミニ編集参加(文の提供・嘘・誤字等) 出典、参考 上へ
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ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 【カウンターサイド】リセマラ当たりランキング - カウサイ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ウィキペディアを作ったiMacが箱付きで競売に登場。予想落札価格は約96万円!(ギズモード・ジャパン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 終末のアーカーシャ(終アカ)攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) メトロイド ドレッド攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【まおりゅう】最強パーティー編成とおすすめキャラ【転スラアプリ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【グランサガ】リセマラ当たりランキング - グランサガ攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) アイプラ攻略Wiki|アイドリープライド - AppMedia(アップメディア) マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」:時事ドットコム - 時事通信 マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」 - PR TIMES 【アイプラ】リセマラは必要?当たりキャラランキング【IDOLY PRIDE】 - Gamerch(ゲーマチ) 篠原悠希×田中芳樹が明かす「歴史ファンタジー小説ならではの悩み」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【Apex Legends】ヴァルキリーの能力と評価【エーペックス】 - Gamerch(ゲーマチ) モンハンライズ攻略Wiki|MHRise - AppMedia(アップメディア) 【ウインドボーイズ】リセマラ当たりランキング(最新版) - ウインドボーイズ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ポケモンBDSP(ダイパリメイク)攻略wiki - AppMedia(アップメディア) SlackからWikiへ!シームレスな文章作成・共有が可能な「GROWIBot」リリース - アットプレス(プレスリリース) 【ウマ娘】ナリタブライアンの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】ヒシアケボノの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】フジキセキの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) ドラゴンクエストけしケシ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) サモンズボード攻略wiki - GameWith 【スタオケ】カード一覧【金色のコルダスターライトオーケストラ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【スマブラSP】ソラのコンボと評価【スマブラスペシャル】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ブレフロレゾナ】リセマラ当たりランキング【ブレイブフロンティアレゾナ】 - ブレフロR攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ガーディアンテイルズ】ギルドレイド戦(秘密の研究所)の攻略とおすすめキャラ【ガデテル】 - Gamerch(ゲーマチ) 仲村トオル、共演者は事前に“Wiki調べ”(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ENDER LILIES】攻略チャートと全体マップ【エンダーリリィズ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】あんしん笹針師の選択肢はどれを選ぶべき? 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- AUTOMATON 無料とは思えない多機能っぷりなWikiインフラ「Wiki.js」レビュー、自前でホスト&外部サービスと連携可能 - GIGAZINE Microsoft Teamsの基本と活用(24) TeamsのWikiを使う - マイナビニュース 『ゲーミングお嬢様』での提起が話題に “企業系wiki”に横たわる問題点とは - リアルサウンド 「エイリアンのたまご」,自動周回機能と公式wikiが登場 - 4Gamer.net 【リゼロス】Re ゼロから始める異世界生活 Lost in Memories攻略まとめwiki - 電撃オンライン ヌーラボ、プロジェクト管理ツール「Backlog」の絵文字入力の補完機能・Wiki編集の自動マージ機能を修正改善 - PR TIMES Backlog、Wikiにファイル添付が容易にできる機能をリリース -- グローバルバーの視認性改善なども実施 - PR TIMES GK川島、パンチング失点でWiki書き換え炎上 「セネガル代表」「プロボクサー」... - J-CASTニュース 「ウィキ」の「寄付バナー」がデカすぎ 「広告にしたら?」の声、元管理者にぶつけると... - J-CASTニュース
https://w.atwiki.jp/codeofjoker/pages/37.html
Ver. 1.0 カードNo. 1-0-008 種類 ユニット レアリティ R 名称 バルキリークララ 属性 赤 種族 精霊 CP 3 BP 3000/4000/5000 アビリティ ■聖女の加護このユニットはブロックされない。(この能力はこのユニットがフィールドに出た時に付与される) 標準で直接アタックが可能なユニット。 妨害されなければ毎ターン1点ダメージを与えることができ、 除去手段が限られる緑主体のデッキなどにとっては厄介なユニットになる。 確実にプレイヤーアタックが成功するため、これを発動条件とするトリガー/インターセプトを発動しやすい。 その代償として貧弱なBPとなっており、サポートなしでは次のターンまで生き残ることが難しい。 インペリアルソードと合わせて奇襲をかけたり、行動権回復で連続アタックを狙うなど、アビリティを有効に活用したい。 「アヴァロンの鍵」のキャラクターの1人。そちらでの能力は「先制/相手の先制を避ける」と、CoJと違い防衛戦向けのカードとなっていた。能力名の「聖女の加護」もアヴァロンの鍵においてバルキリークララが描かれた戦闘支援カード。こちらもCoJと異なり防御向けのカードである。 フレーバーテキスト 天上界の女性騎士。名家の出身で、類稀なる実力と容姿を兼ね備えている。 ユニットボイス タイミング ノーマル/フォイル共通 アタック時 やっ! +エラッタ 2013年09月06日付修整リスト(Ver.1.0) BP2000/3000/4000 BP3000/4000/5000 2015年09月17日付修整リスト(Ver.1.4EX1) コスト4 コスト3
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攻略 蘇生以外は特別なことはしてこないが、一緒に出現するお供の攻撃が異常に高いというボス。 基本的な流れとしては、お供に攻撃されないよう処理しつつ、最終的にはボス本体も倒すという少々厄介な敵である。 「お供処理のターン」 ↓ 「ボスへの攻撃のターン(ターン終了時にお供を蘇生)」 ↓ 「お供処理のターン」 ↓ を繰り返すことになる。 「お供処理のターン」は右のお供にターゲット指定して全力で攻撃(できるなら全体攻撃で)し、「ボスへの攻撃のターン」は攻撃(単体技)・回復、もしくはお供処理に備えて手札整理を行う。 「ボスへの攻撃のターン」で行う攻撃は「お供処理のターン」で使うべきキャラを消費してまで攻撃する必要はない。そこは我慢して、お供の処理を第一に考えよう。 ボス一体とお供二体の三体編成。 お供(HP8000程度?9000与えてもしなないときがある)を倒すと次ターン終了時に必ず蘇生してくる。 お供の攻撃(自PTの最大HPの6割程?の割合ダメージ)はかなり強力だが、ボスの攻撃(自PTの最大HPの2割程?の割合ダメージ)はお供に比べればまだ痛くない。 また、最大HPに対する割合ダメージのため、属性・特性による被ダメージの減少・増加はない。火力役以外であれば木属性以外のキャラをいれることも考慮しよう。 ボスだけに集中攻撃する戦法は無理、激しい攻撃を耐えることはほぼ不可能。 「お供処理のターン」は、お供を二体とも処理することが目標。二体が無理でも、最低お供を一体は仕留めないと即リタイアになる大ダメージを受ける。 (お供が一体残っているだけでも10000オーバーの大ダメージを受ける) このためシンリュウなどを福ボーナス目当てだけのためにリーダーにして戦うのは無理がある。 全体攻撃もちで高火力のギル亀ッシュ、ヨミドノ狼、カミオ結ビなどは非常に使いやすい。 ソロ、マルチ(ゲスト)はギル亀ッシュをリーダーに推奨。リーダーとくせいで木属性ATK100%UP(つまり攻撃力が2倍)を持つ。いない場合はヨミドノ狼、スサノ王あたりを推奨。 その他のおすすめは、イッキャク、シュンシー、ヤ蜘蛛、カミオ結ビ、ヴァル幹、ウソ、ウダル、ン神カルタなど。ハーブは文字をつなげにくくなるため非推奨。 イッキャクは[い]で使いやすく、味方の火力を底上げして一気に殲滅しやすくなる。 シュンシーは[し]で、同じ回復役のハーブと比較して使いやすい。入れておいて損はない。入手するには降臨スケジュールをチェック。 カミオ結ビは進化させると、大回復と範囲攻撃を同時に行う。リバールキリーのためのキャラともいえるが入手できるかどうかは運次第。 弱点は自然地形。 ミス摂ルティンやミカ桐がいれば[○○うみ]で大ダメージが見込めるが・・・[み]は手札にあると非常に持て余すことが多いのでリスクが高い。 安定した火力が求められるステージなので、わざ発動に重点をおくべきだろう。 一見、おのゆーは使えそうだが超化までしてやっと使えるかどうか、とくせいで水属性キラーはあるものの所詮10%UP。 ストーリーでもらえるトキメキのほうがまだ強い。 配置パターンは易しいので、接続性の高い文字を揃えていればその点で苦労することはないはず。 デッキ構成の優先度としては、 できるだけ木属性のキャラで揃える。 ATK補正の高いリーダーにする。 わざ発動を途切れさせないために、接続性の高い文字を多めに入れる。(使用率の高い[い][う][し][ん]、木属性で使いやすい[き][よ]) 高威力のわざ持ちのキャラを多めに入れる。高威力かつ全体攻撃であればなおよい。 回復は1~2枠。ボスから受けるダメージ分を回復、もしくはお供がすべて処理できなかった場合の保険の役割。あくまでお供は倒し切るつもりで臨むこと。 一人でもおかしな配置をすると即リタイアになる。言葉に詰まったら早めに「何だせばいい?」を使ってみんなの知恵を借りよう。 配置パターンおすすめ単語備考編集 し○○○○ょう編集 さ○○○○だい編集 じ○○○○とう編集 す○○○○さん編集 う○○○○ぶん編集 つ○○○○えき編集 た○○○○しん編集 す○○○○げん編集 編集 編集
https://w.atwiki.jp/ayano01/pages/234.html
現在、米国とフランスから派遣された部隊が展開する松本市。 その隣の旧上田市は既に魔族軍の支配地域だ。 魔族軍の侵攻を受けるまで、長野県東部の中核都市として総人口約16万を誇った上田市は、わずか半日で魔族軍により地上より消滅させられたため、上田市が現在どういう状況にあるのか、衛星からの偵察写真からの情報以外、実はほとんどわかっていなかった。 魔族出現地点付近である以上、魔族の本陣があるのは間違いない。 それだけに、情報が欲しい。 日村に門(ゲート)から近い上田市において、どれ程の戦力が展開しているか。 或いは、どれほどの陣地が形成されているかがわかれば、日村における大凡の戦力がわかる。 それがわかれば、一気に日村の門(ゲート)を制圧し、国内おける魔族軍の動きを止めることも不可能ではないのだ。 かといって、リスクは高い。 正規部隊のメサイアを危険にさらすことは避けたい。 そこで選ばれたのが、問題を起こした新米騎士―――即ち、美奈代だった。 ●長野県真田町付近 「屍鬼(グール)狩りは最後でいいんです」 群馬県側から鳥居峠を越え、国道144号線にそって山の稜線をなぞるような飛行を続ける“征龍改”。 そのコクピットの美奈代に、牧野中尉が言った。 「どうせ、大した戦果にはなりませんし」 「そういうものなんですか?」 「上層部が期待するのは、上田市への侵攻が出来るか否かの判断材料となる情報です。屍鬼(グール)狩りを命じてきたのは、それとは別系統でしょうから」 「別系統?」 「情報は参謀本部。屍鬼(グール)狩りは―――どこかしらね?」 「ふぅん?……そういうものなんですか?」 連なる山を乗り越える際の微弱なGを感じながら、美奈代は牧野中尉の判断に、しきりに感心するだけだ。 「そういうものです―――真田、入ります」 山間の谷に沿った道がスクリーンに映し出された。 先日の攻撃が効いたのか、魔族の姿はない。 道に沿って数件の家々が立ち並ぶ、日本のどこにでもありそうな山村の光景が、そこには広がっていた。 「あーあ。ダボスは行きつけのスキー場だったのになぁ……」 “またお越し下さい。真田町”そんな看板を通り過ぎた辺りで、牧野中尉が残念そうな声をあげた。 「菅平でスノボやって、上田でお蕎麦食べて別所温泉で一泊ってのが、冬の定番だったのに……」 「奪い返せば―――それで」 「……そうね」 牧野中尉は頷いた。 「―――さて、准尉」 「はい?」 「上田市市街地に侵入して、敵の反応を探ります」 「はい」 山間部を抜け、開けた土地がスクリーンに映し出される。 上田市だ。 「まだ敵は―――」 ピーッ 「“さくら”?」 「戦狼タイプ3―――5、7。8時方向から接近中」 「早速いらっしゃったわよ?准尉」 「―――了解。“さくら”、全ウェポンセーフティ解除」 「了解っ!」 ズンッ! ギャウォォォォォォォォッッ!! 腕にマウントされた35ミリ多銃身機動速射野砲が最後の戦狼級中型妖魔を撃破したのは、菅平IC付近でのことだ。 戦狼がもんどり打って、国道沿いのコンビニに突っ込んで動かなくなった。 「ラスト1撃破」 戦狼の死体を一瞥すると、美奈代は騎体を上田市街へ向けて移動させた。 ―――慣れてきたな。 美奈代はそう思った。 「騒ぎは辺り一帯に知られています」 牧野中尉は言った。 「なるべく早めに任務を達成しましょう」 「上田市市街地へ」 「そう。だけど、ルートを変えます」 牧野中尉は手元の戦況モニターを切り替えた。 モニター上に上田市の詳細な地図が表示される。 「どうせ魔族が動くなら、先に屍鬼(グール)を始末しましょう」 「どこで発見されたんですか?」 「市内踏入―――ここと、ここです」 「信州大学と―――ここですか?」 「そうです。このショッピングモールです―――まぁ、はっきり言っちゃえば、広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)でこの一帯全部焼き払えば終わりなんです」 「し……しかし」 美奈代はさすがに躊躇した。 地図上には大学に高校、保育園まである。人々の生活の場なのだ。 広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)の射程範囲は約500メートル。 一回の攻撃で一面火の海だ。 「この周辺に人は住んでいません」 その被害を考え、俯いて躊躇した美奈代に、牧野中尉は明るい声で言った。 「ブワァーって、一回トリガー引けば、後は全部、灼熱どころじゃない炎が全部焼き払ってくれます。ちなみに、“掃除”は命令ですよ?」 「……うっ」 「なんでしたら―――」 その声は背筋が凍りそうなほど冷たかった。 「私がやりますけど?」 「……いえ」 美奈代はきっと顔を上げ、 「騎士の務めですから」 そう言った。 「そういう生真面目な所」 それを聞いた牧野中尉は、悪戯っぽい顔で小さく笑った。 「―――嫌いじゃないです」 美奈代は“征龍改”を、信州大学の間近。常田3丁目交差点に通じる丘の上に停止させた。 「中尉―――広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)を」 「了解」 “征龍改”の腕が、腰部にマウントされていたフレイムノズルを掴んだ。 ノズルの移動にあわせ、背部のリキッドタンクに引き込まれていたリキッドホースが延びる。 「ノズル伸展します」 牧野中尉の操作で、“征龍改”の手にしたフレイムノズルが面白いように延び、伸展完了時には、“征龍改”とほとんど倍近いサイズにまで延びた。 「伸展完了」 「使用しつつ移動します」 「了解。トリガー、任せます」 (使いたくないけど) 美奈代はどうしてもそう思ってしまう。 何しろ、目の前で伸展したノズルがここまで長い理由は、広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)から発せられるプラズマ火炎は1万2千から8千度。 鉄の融点が1535 度と言えば、その温度がいかに非常識か分かるだろう。 それ故に、その発射時の高温で、使用した騎体そのものが溶けて破壊されてしまうのを防止するために、広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)のフレイムノズルは恐ろしく延長せざるを得ないのだ。 眼下に広がるのは、人々の築き上げてきた町並み。 何の罪もない街だ。 人気はない。 あるのは、戦況モニター上に表示される無数の小型妖魔―――屍鬼(グール)の反応だけ。 ―――私は火葬場の代わりだ。 美奈代は心の中で自分に言い聞かせた。 ―――死んだのに死にきれなかった人を、楽にしてあげるんだ。 自分に罪はない! 私がするのは、人殺しじゃないっ! 美奈代は、自分に強くそう言い聞かせると、トリガーを引いた。 ギュワァァァァァァッッッ!! 背筋の寒くなるような、まるでバケモノの断末魔のような音を立て、広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)から激しい光が放たれた。 プラズマ火炎だ。 有効射程500メートル。 一回の使用で、街の景色が一変した。 炎が到達した場所だけが面白いように破壊され、周辺が類焼。一面が火の海と化した。 ―――ごめんなさい。 美奈代は心からそう呟くと、炎上する市街地へと“征龍改”を前進させた。 妖魔の反応が左側に強く現れたのは、県道79号線に沿って上田東高等学校横まで来た時だ。 広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)で校舎を半分近く消滅させられ、激しく炎上を始めた高校の校舎を一瞥した美奈代は、“征龍改”を止めた。 反応は左側―――信州大学のキャンパスだ。 サーチ結果とキャンパスの地図を照合させると、校舎と反応の集中が合致する。 校舎の中にびっしりと屍鬼(グール)達が潜んでいる証拠だ。 東高校の校舎に潜んでいる数に比べれば大したことはない。 ―――ごめんなさい。 ―――でも、こうしないと!! フェンスを踏みつけ、すでに広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)で原型がわからないほど破壊されたスーパー横のテニスコートに移動した美奈代は、内心でそう詫びながら、再びトリガーを引いた。 トリガーを引く間、美奈代はゆっくりと“征龍改”を一回転させた。 周辺全てを焼き払うためだ。 ギュワァァァァァァッッッ!! それが、広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)の発射音なのか、それとも地獄の炎に焼き殺される屍鬼(グール)の断末魔なのか、もしかしたら、殺されていく街の叫びなのか、それは美奈代にはわからない。 恐怖より虚しさばかりが先走る音だと美奈代は思った。 トリガーから指を離した時には、すでに信州大学の広大なキャンパスは―――いや、街は原型を止めない一面の焼け野原の中になっていた。 美奈代は溶けてねじ曲がった建物の礎石が、灼熱地獄に転がる墓石にさえ思えた。 「……」 「感傷に浸っている時間はありませんよ?准尉」 「……慣れてるんですね」 「おかげさまで―――次はショッピングセンターです。念のため、その近隣を焼き払ってください。終わり次第、そのまま上田駅経由上田市役所、上田城から一気に塩田方面へ」 「……了解」 「准尉」 「はい?」 「あなたはいいことをしているんです―――ウソでもそう自分に言い聞かせなさい。これは近衛軍中尉としての命令です」 「……ありがとうございます」 『前方に8騎―――“デミ・メース”だ!』 千曲川方面から、民家を踏みつぶして移動するのは、魔族軍第189哨戒隊。 騎数は6。 前方を進む隊長騎からの突然の通信に、二番騎を操るカヤノは、外の景色に見とれるのをやめ、規定通りの操作にとりかかった。 ―――デミ・メース。 メースの紛(まが)い物。 カヤノ達魔族がつけた敵兵器の蔑称だ。 『久々のエモノだ!』 『前の戦では、バムロの隊にしてやられたが、今度はそうはいかねえぞ!?』 舌なめずりさえ聞こえてくる品のない通信。 背筋に悪寒が走ったのをこらえつつ、カヤノは訊ねた。 「隊長、本陣へ連絡は?」 『首を上げてからでいい』 カヤノの問いかけに、隊長であるガバラはそっけなく答えた。 『見習いは見習いらしく、小さくなってろ!余計なことすんな!』 「は、はい」 『初陣なんだ。力みすぎるなよ?』とギーン。 「あ……ありがとうございます」 ガバラの粗暴さをフォローするようなギーンの言葉がありがたい。 『ヤバければ逃げろ。無理してメースを壊してくれるなよ?』 『ギーン、袋だたきにしてやろう。やれるな?』 『腕はなまっていません。ご安心を』 ガバラ隊長は、自分達だけで敵を撃破するつもりだ。 カヤノはそう思った。 その理由は――― 『カヤノ、お前は足手まといだ。下がっていろ―――何もすんじゃねえぞ?』 そういうことだ。 「り、了解……」 戦闘経験がない新入りのカヤノに、隊長という肩書きを持つ相手に逆らうことは許されない。 先の戦争でも、最後のメース補給と共に配属され、結局、見習いのまま戦争を終えたカヤノは何千年経ったとしても、見習いのまま。 例え、メースから降りれば降りたで自分を女として蔑むガバラであっても、その嫌悪感を反抗という形で示すことは許されないのだ。 カヤノは騎の移動速度を落とし、残り5騎のかなり離れた位置についた。 哨戒隊が千曲川を越えた辺りで、カヤノは悲鳴を聞いた。 「な、何ですか!?」 一瞬、強い光が走ったかと思うと、人間達の巨大な建造物が消滅した。 「なっ!?」 『じ、人類めっ!?』 『な、何をした!?』 ガバラ達にも事情が分からないらしい。通信の声色が明らかに狼狽していた。 カヤノはその時、センサーが1万度を超える熱を捉えていたのを見た。 メースの装甲でさえ、そんな熱を受けたら危険だ。 ガバラ達がそれに気づいているのかわからない。 だが―――殴られたくもない。 『ガオ、ニアメとカンガンで仕留めろ、昨晩のカードはそれでチャラだ』 『おうっ!』 ガオ副長騎が後続の2騎と共にカヤノを追い抜いていく。 隊長騎と副長騎が二つの部隊に別れた。 一体、どっちについていけばいいんだろう。 躊躇するカヤノを後目に、ガバラ達の騎が抜刀、突撃していくのを、カヤノは黙って見ているだけだ。 もし、下手に一緒に突撃したら、後で殴られる。 カヤノは経験から、それを知っている。 メースと同調している手足が、動きたくてウズウズしているのを、カヤノは堪えるしかない。 建物が消滅した先。 千曲川方面からだと丘陵の上にあたる場所。 カヤノは知らないが、ショッピングセンターがあった場所に立ったのは、カヤノが初めて見る、人間側のメース―――デミ・メースだった。 巨大なタンクを背負い、恐ろしく長い筒を持っている。 それが、カヤノ達の見た敵の姿だった。 『あいつ、剣をもっていないぜ!』 『ありゃ槍か!?』 『たんなる筒だ!』 ガオ副長騎達の通信が、勝ち誇ったような声になる。 ただ、カヤノの何かが、早鐘のように叫んでいた。 ―――あの敵は危険だ! そう、告げていた。 敵はまだこっちに気づいていない。目的を果たしたのか、そのまま移動を開始した。 奇襲のチャンスだ。 カヤノの目の前で、丘陵の斜面をホバー移動で一気に駆け上ったメースがデミ・メースに躍りかかった。 「っ!」 美奈代はとっさに騎体を後退させた。 神社の社殿を踏みつぶして停止した所で、美奈代は自分が何に襲われたかを知った。 魔族軍のメサイアだ。 「―――ちっ!この装備の時にっ!」 美奈代は“征龍改”が手にしているフレイムノズルを恨めしく睨んだ。 普通、広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)なんて、対メサイア戦で使える代物ではない。 ―――放棄するか? 美奈代がそう思った時には遅かった。 スクリーン一杯に3騎のメサイアが自分めがけて襲いかかってきていた。 「くそっ!」 美奈代は騎体を急加速でホバー移動させ、民家を薙ぎ払いながら間合いを取った。 「この辺―――無傷だったんですけどねぇ」 牧野中尉が呆れたような声をあげた。 「准尉が暴れたおかげで壊滅状態―――どうするんです?」 「知るもんですかっ!」 美奈代は怒鳴った。 「大体、なんてこというんですか!?」 「本当のことでしょう?」 美奈代は敵の執拗な攻撃をかわしながら怒鳴った。 「やれっていうからっ!」 「責任のなすりつけはいけませんよ?」 美奈代は鷹匠町の中部電力の施設を楯にすることに成功した。 「しゃらくせぇっ!」 ガオ副長は怒鳴りながら敵が回り込んだビルに襲いかかった。 彼が駆るメース、ツヴァイが手にしているのは巨大な戦斧。 人間のビルを余裕で叩き斬れることは実証済みだ。 ガオ副長は、本気でビルごとデミ・メースを叩き斬るつもりで戦斧を振りかぶった。 今、まさに戦斧が振り下ろされようとするその瞬間、 ビルの背後から敵が飛び出してきた。 デミ・メースの持つ恐ろしく長い筒先から、強い光が放たれたのは、その瞬間だった。 「きゃっ!?」 強い閃光に襲われたカヤノは、思わずメースの腕でメインカメラをガードした。 高い建物の背後に回り込んだデミ・メースに、ガオ副長達が襲いかかった直後のことだった。 警報が鳴り響いたほどの強い熱風がカヤノ達のメースの周囲を突き抜けた。 「な―――何?」 キョロキョロと周りを見回したカヤノは、敵が何かとてつもない兵器を使用したことだけはわかった。 わからなかったのは、ガオ副長達の姿が消えたことだけだった。 「こういう使い方……」 牧野中尉はあきれ顔で言った。 「准尉が初めてです」 「それ褒め言葉ですか?」 “征龍改”は大きく跳躍すると上田駅お城口前ロータリーに着地した。 「半分は褒めてます」 牧野中尉は頷いた。 「広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)の炎を槍の代わりにして突き出したなんて、聞いたことがありません」 そう。 美奈代は広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)から吹き出した炎を単なる面の制圧に使わなかった。 フレイムノズルのノズル幅を絞って、プラズマ火炎を集束、炎を槍の穂先状にして敵メサイアに突き出したのだ。 さすがの魔族側メサイアも、1万数千度の高温には耐えられなかった。 直撃を喰らった敵メサイアは、一瞬で上半身を蒸発させた。 美奈代はその瞬間、ノズル幅を最大に拡大し、掃射モードに切り替え、残り2騎にノズルを向けたのだ。 指揮官騎が一瞬で倒され、状況がわからない2騎に、それをかわすことは出来なかった。 「交戦時間ジャスト30秒で3騎撃破ですよ?」 「それより」 美奈代は言った。 「ガドリング砲準備してください」 「―――了解」 駅前ビルを飛び越えて襲いかかって来たのは、ガバラとギーンの騎だ。 広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)ではそのスピードには対処出来ない。 美奈代は牽制のために左腕にマウントした多銃身機動速射野砲を2騎に向けた。 駅前ビルを粉砕しながらガラバ騎を襲った35ミリ砲弾の雨だったが――― 「痒いわっ!」 数発が命中したが、ガバラ騎の装甲で派手な音を立ててはじき返されてしまう。 まるでからかうように機関砲弾を受けつつ、ガバラ達の騎は、上田駅の向こうへと消えた。 「この程度の力で―――っ!」 上田駅に停車したまま放棄された長野新幹線の車両を、駅のホームごと美奈代騎から放たれる機関砲弾が破壊するが、ガバラ達にとってはどうでもいいことにすぎない。 ガバラは腰にマウントしていた魔法弾発射筒を引き出し、肩に構えた。 「なめるなぁっ!」 魔法弾発射筒、つまり、一種のバズーカは上田駅をぶち抜いて美奈代騎に逆襲した。 寸前でかわせたものの、発射された一撃は、駅前ビルの中に飛び込んで爆発。 衝撃で、残っていた駅前ビルの窓ガラス全部が炎と共に吹き飛んだ。 ガバラは魔法弾発射筒を放棄すると、戦斧を構えた。 「ギーンっ!かかるぞっ!」 「おうっ!」 「―――ちぃっ!」 背後からの爆発はフェイクだ。 美奈代はそう判断して、あえて視線を上田駅方面から離さなかった。 案の定、敵は再び上田駅を飛び越えて襲ってきた。 美奈代は広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)を再び構えた。 ―――ああ、2騎がシールドで押して首をとるつもりだな。 カヤノはその光景を少し離れた場所から、見物していた。 他にすることはない。 下手なことをすれば、ガバラ隊長に殺される。 それはイヤだ。 カヤノの目の前で、ガバラ騎とギーン騎が連係プレーで敵を押している。 敵はロータリーの中を器用に逃げ回っている。 間合いを詰められるのを嫌っているのだ。 そして、駅前の交差点から別道に入り込んだデミ・メースが迫るガバラ騎に長い筒先を向けた。 「!!」 それは偶然といえば偶然だ。 カヤノの目は、その瞬間、その筒先に走った光を見逃さなかった。 ―――危険だ。 考えるより早く、カヤノはメースに内蔵されているML(マジックレーザー)を発砲した。 両肩に装備されたMLは、ガバラとギーン、それぞれの騎の真横をかすめ、目標―――広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)のリキッドホースに命中した。 「当たった!」 敵騎が筒を離し、ガバラ騎を突き飛ばした瞬間――― それまで敵のいた場所で大爆発が発生。ガバラ騎を、荒れ狂う炎の嵐が襲った。 デミ・メースはあからさまな狼狽を見せている。 しかも丸腰だ。 今ならやれる! カヤノは、メースの剣を抜いたが――― 『カヤノ!』 ガバラの怒鳴り声が響き、カヤノはメースの操縦を止めた。 『テメエ!余計なマネすんな!』 「で、でも!」 『見てればいいんだよ!』 戦斧斧を装備するガバラが、再び、デミ・メースに襲いかかった。 デミ・メースは、シールドでガバラの斧の受け流し、間合いをとる。 ―――ダメだ! カヤノは、一瞬で、デミ・メースがガバラより圧倒的に上手であることを見抜いていた。 敵の動きは、粗暴さが滲み出ているガバラに対して、まるで流れる水のように滑らかだ。 そこにはほとんど無駄がない。 斧を振り回し、デミ・メース達を近づけまいとするガバラの動きは、品性のカケラもない。むしろ野獣そのものだ。 対する敵は、まるで猛獣を罠に追い込もうとする狩人の如く、連携がとれた無駄の少ない動きをする。 カヤノの目には、デミ・メースのパイロットは、かなりの使い手に見えた。 「人類は……ここまで」 もう、カヤノは感心するしかなかった。 自分達が門(ゲート)に封印されてから数千年の年月が流れたことは知っている。 その間に、人間は、ここまでのモノを作り上げ、そして使いこなしているというのか……。 カヤノが不思議な感慨を胸に、目の前の光景に見入る中、事態が動いた。 「ちいっ!」 振り回される斧をシールドでそらした美奈代が、シールドに装備していた斬艦刀を抜いた。 突き技を繰り出した。 敵は、その一撃を騎体をひねってかわす。 それが、美奈代のねらい目だった。 「そこっ!」 攻撃をかわすことで体勢を崩した敵に、再び斬艦刀の一撃が襲った。 「ぬぉっ!」 その一撃をシールドで受け止めたガバラだったが――― ズンッ!! 敵の一撃は、シールドを突き抜けた。 「何だと!?」 シールドと左腕を突き抜けた白く輝く切っ先が自分めがけて襲いかかってくる。 「ぐっ!―――このおっ!」 騎体胸部に切っ先が突き刺さったのを感じつつ、ガラバは自分のメースに剣を突き立てた相手を殺そうと藻掻いた。 腕を動かし、メースを後退させることで、何とか胸に突き刺さった剣を抜こうとする。 そして、 「俺一人が!俺一人が死ぬことなんて―――あるもんかぁぁぁぁっっっ!」 剣が抜けないと知るや、剣めがけて何度も斧を振り下ろした。 斧が斬艦刀にぶつかる度、斧が砕けていく。 それでも、ガラバは斧を振り下ろすのを止めようとはしない。 「俺は死なん!俺は死なんぞぉぉぉっっ!」 『ガラバ隊長!』 「カヤノ!お前は下がれっ!本部へ、本部へ―――!」 「ガラバ隊長!」 カヤノの目の前で、ガラバの騎から巨大な剣が抜かれ、再び、深く、そして強く突き刺された。 その衝撃か、ガラバの騎の足は宙に浮き、その手から斧の柄が落ちた。 正面から撃ち込まれ、背を貫く剣は、間違いなくメースのコクピットを貫通していた。 「……なっ……」 ガンッ! その音に気づいたカヤノは、さらに酷い光景を目にすることになる。 「ギーンさんっ!?」 隊長騎が倒されたことで我を忘れたのか、反応が遅れたギーンの騎が、シールドと剣で上からの攻撃に備える姿勢をとっている。 その前方では、ガバラを仕留めたデミ・メースが、ギーンを前に、何もしていない。 いや。 正面の騎は、巨大な剣を振り下ろした姿勢になっている。 「ギーン……さん?」 呆然とするカヤノの目の前で、ギーンの騎が真っ二つになって崩れ落ちた。 「っ!!」 ギーンを斬ったデミ・メースが立ち上がり、その視線を、カヤノに向けた。 「ほ、本部!本部!」 カヤノは悲鳴を上げながら、本陣を呼び出す。 「こちら第189哨戒隊!敵のデミ・メースに襲われ、ガラバ、ギーン両名が戦死!」 『こちら本陣。すでに増援が動いている!かまわん!貴官は後退せよ!』 「了解!」 後退せよ――― その命令がなければ、カヤノはそのまま、だまって敵に殺されていたかもしれない。 今のカヤノに出来ること。 それは、迫り来るデミ・メースに、 「このおっ!」 攪乱爆弾(ジャミング・ボム)と煙幕弾(スモーク・グレネード)をありったけ叩き付けるだけ。 カヤノは一気に本陣に向けてメースを後退させた。 あれが―――敵なんだ! カヤノは、背後から飛び来るMLをかわしつつ、自覚した。 あれだけ、威張っていた。 あれだけ、過去の武勲を自慢していた! それでも、こうもあっさりと死ぬ。 死んでしまう! これが―――戦場なんだ! 本陣が見えた所で、カヤノはメースを着地させた。 相当な距離をメースが滑ったらしい。 カヤノのメースの背後には、メースがほじくり返した跡が長々と残っている。 一方、メース達が並ぶ陣では、次々とメース達が動き出している。 味方の姿に安堵したカヤノは、その時初めて、自分が震えていることに気づいた。 「敵大規模部隊が接近中。どうします?」 「逃げます」 美奈代はそう言うと、敵が迫り来る千曲川方面から背を向け、ブースターを全開にした。 「あれだけ敵がいるってわかっただけで、任務は終了したものと判断します」 「―――賢明です」 牧野中尉は満足そうに頷くと、上空をみつめた。 ―――まさか、准尉も。 その高度1万メートルに何が潜んでいるか知っているのは、この場では彼女だけだ。 ―――実は、自分がオトリだったなんて知ったら、どうするかしら? 牧野中尉は、こっそりとメサイアの“眼”を上空に向けた。 情報はMCL(メサイア・コントローラー・ルーム)内のみに限定。 ―――いた。 コンシールされたメサイア特有の空間の微弱なゆがみ。 普通なら熟練のMC(メサイアコントローラー)でさえ見逃してしまうそんな現象を、牧野中尉は見逃さなかった。 開発局のテスト用メサイア―――紅龍B。 近衛軍の試作可変メサイアのベースモデルであり、あのFly rulerとは姉妹騎にあたる。 その騎に情報収集ポッドを満載し、美奈代達、つまり、自分達を見張っているのだ。 理由は様々だ。 自分達をオトリにして、魔族軍の展開に要する時間を測定したり、戦闘に必要な情報を確保したり、オトリが脱走しないように監視したり―――。 脱走。 そんな言葉が脳裏を横切った牧野中尉は、小さく笑った。 「大丈夫です」 かつて、女として死んでも忘れられないほどの屈辱を与えてくれたその言葉。 「私……もう逃げませんから」 牧野中尉は空に向かって小さく―――誓った。 「そう約束したじゃないですか……後藤中佐」 美奈代達の背後で、上田市が遠ざかっていった。
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戦場のヴァルキュリア part44-26~31,45~50,63~68,78~79,81~84,87~91,106~110 26 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/07(土) 00 13 54 ID Pkq2uv+m0 序章・終章含めて19章。1章1レス+用語解説(これ)で20レスくらいになるかと。 まずは頻出する用語の解説から。 ガリア公国:本作の舞台。連邦と帝国の間に位置し、どちらにも属さない武装中立国家。 第二次ヨーロッパ大戦の最中、豊富なラグナイト資源を狙った帝国の侵攻を受ける。 国民皆兵制度を敷いており、小・中・高・大学で軍事教練が必修。さらに中学校までは 義務教育であるため、国民全員が戦闘の基礎を習得している事になる。 位置的にはオランダ~ドイツ辺りの海沿いだけど、世界地図が現実の物と多少違うので はっきり 「この場所」 とは言い切れない。 東ヨーロッパ帝国連合:通称 『帝国』 ヨーロッパ統一を目指す君主制国家。デカイ。強い。 連邦のみならずガリア公国含む周辺諸国へも侵攻。本作のメイン敵国になる。 大西洋連邦機構:通称 『連邦』 ヨーロッパ西側の共和制国家の集合体。領土は帝国より 狭く(それでもガリアに比べれば超デカイが) 戦車開発等においても帝国に遅れをとる。 秘密条約など、まっとうでない手段によって国土を拡大してきたとも言われる。 第二次ヨーロッパ大戦:征暦1935年に勃発し、ヨーロッパ全土を巻き込んだ戦争になる。 (と言っても帝国と連邦でほぼヨーロッパ全土なんだが) 原因はラグナイト資源争い。 「第二次」 という事は第一次もあるわけで、これもやはり帝国と連邦の戦争だった。 第一次の時もガリア公国は帝国による侵攻を受けているが、独立を守り通している。 ラグナイト:燃料や動力、爆薬から治療薬など何にでもなる鉱物資源。青く発光する。 ダルクス人:数千年前、邪法を使って100の都市と100万の人畜を焼き払ったと伝えられ それを理由に様々な迫害を受けている民族。工業や鉱業などの重労働に就く者が多く (というか迫害ゆえにそういった仕事にしか就けない) 「油くさい」 などと揶揄される。 紺色の髪と伝統的な文様の入った布 (ストール等) の装いを特徴とする。 ヴァルキュリア人:北方より現れてダルクス人を倒し、ヨーロッパを救ったとされる人々。 ラグナイトを原料とする武器を用い、戦闘時には青い光を放って人間離れした能力を 見せたと言うが、現在の認識はほとんど御伽噺か伝説上の存在に近い。 この世界の 「征暦」 はヴァルキュリア人がヨーロッパを平定した年を紀元としている。 27 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/07(土) 00 17 23 ID Pkq2uv+m0 【序章:開戦】 帝国との国境近いブルールの街。帝国の宣戦布告を受け、人々はこの先来るだろう 戦火を避けるために街を離れ始めている。 街を去る人々の流れの中、一人逆に街に向かう青年がいた。 川の傍に座って手帳に何か書き出した彼を、見回り中のブルール自警団が拘束する。 ウェルキンと名乗る青年は 「魚のスケッチをしていただけ」 と言い、事実手帳の中は 魚や花、虫のスケッチばかりだったが、自警団分隊長のアリシアは容易には信じない。 自警団詰め所へ連行する途中、ウェルキンに声をかける少女が現れる。 アリシアは、彼女がギュンター将軍の娘、イサラ・ギュンターである事に気づく。 まだ疎開してなかったの? と訊ねるアリシアに、イサラは兄が今日迎えに来る事に なっている、と答える。その 「兄」 が、つまりはウェルキンだった。 驚き、むくれつつも自分の勘違いを謝るアリシア。 昔から自然が好きで、今は首都の大学で学んでいると言うウェルキンは、 「自分も誰かに観察されているかも知れないって事を、覚えておくよ」 と言って笑う。 そこへ帝国の偵察部隊がやってくる。街を去ろうとしていた人々が銃弾に倒れていく中、 アリシアは倒れた自警団員の銃をウェルキンに渡し、戦力に加えて帝国兵を撃退する。 戦いが終わった後、部下の自警団員に倒した帝国兵の遺体を埋葬するように言って、 アリシアは手に持っていたコナユキソウの種を風に乗せた。 街の人を守るには戦うしかない。でも、命を奪い合っていただけではなく、新しい命も この時代に生まれていた事を、戦争が終わって振り返った時に思い出したい。 飛んでいく種の綿毛を見ながら彼女はそう言った。 28 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/07(土) 00 17 52 ID Pkq2uv+m0 【一章:ブルール防衛戦】 アリシアと別れ、家に戻ったウェルキンとイサラは使用人のマーサに迎えられる。 身重の彼女をウェルキンは気遣うが、当人は 「もう5人目だから慣れたもの」 と笑う。 そこへアリシアが登場。さっきのお詫び、と渡されたパンは、パン屋に住み込みで 働いているアリシア自身が焼いたものだった。 家に迎え入れられたアリシアは、壁にかけられた一枚の写真を見つける。 写っているのは二人の男性。一人はウェルキンの父、第一次ヨーロッパ大戦の中で ガリアの独立維持に大きく貢献した英雄、ベルゲン・ギュンター将軍(既に故人) もう一人の事を訊ねると、イサラが私の父ですと答える。父は将軍の戦車を設計した 技師だった。でも生まれてすぐに両親は事故で他界してしまい、将軍が養子として 自分を引き取り、育ててくれたのだと言う。 立ち入った事を聞いた、と言うアリシアに、気にしないで下さいと笑うイサラ。 時間を見て辞去しようとするアリシアをウェルキンが送っていく。 「お父さんの様に軍人にはならないの?」 と言うアリシアの問いに、ウェルキンは 自分は教師になりたいんだと答える。そして自分なりの方法でこの国を守りたいと。 自分なりの、という言葉にアリシアが考え込んだ時、砲撃音が響く。 ブルールの中心に位置し、街の象徴でもあった親子風車が崩れ落ち、帝国兵が 街に突入してくる。自警団員を集め、敵を食い止めに向かうアリシアとウェルキン。 だが戦車まで加わった帝国側の圧倒的な火力は、自警団の抵抗を物ともしない。 アリシアはウェルキンに脱出するように言い、尚も自警団員を率いて抵抗を続ける。 ウェルキンはまだイサラとマーサがいるはずの家へと向かって走り出した。 29 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/07(土) 00 18 17 ID Pkq2uv+m0 【二章:ブルール撤退戦】 家には既に帝国兵が侵入していた。倒れているマーサを庇って立つイサラを見て そのストールから彼女をダルクス人だと知った兵士が侮蔑の言葉を吐く。 そんな兵士達の隙をついて銃を手に取るイサラ。兵士の注意が彼女に向いた時、 ウェルキンが駆けつける。柵の柱を引き抜いただけの即席の棍棒で一人を倒し、 もう一人が応戦しようとした所に銃声が鳴る。引き金を引いたのはイサラだった。 悪態をついて兵士が倒れる。 マーサに駆け寄る二人。既に陣痛が始まっていて動かすのは危険な状態。 そんな時にイサラは納屋に行こうと言い出す。 「父さんたちが残してくれたものが、私たちを助けてくれるはずです」 納屋には一両の戦車があった。イサラの父、テイマーがギュンター将軍のために ただ一両だけ製造したエーデルワイス号。 10年も動かしていない物だが、いつでも動かせるように整備はしてあると言う。 軍事教練で整備を選択し、戦車操縦技能も持つイサラが操縦手兼無線手を担当、 高校で機甲訓練コースを選択していたウェルキンを戦車長兼砲手として、内部に マーサを保護した状態で出撃。 ブルール住民の非難経路を守っていたアリシア達と合流し、帝国戦車を破壊。 時間を稼ぎつつブルールから撤退する。 その間、マーサの子供はなんと戦車の中で生まれてしまっていた。 結局奇襲から2時間足らずで制圧されたブルールを眺めるアリシアとウェルキン。 ウェルキンは、自然から生き物の種族を超えた共存の仕組みを知りたいと言う。 人の生活に活かせるかもしれない。そして教師になれた時それを皆に伝えたいと。 そこへマーサから子供を預かったイサラが赤ん坊を抱いて現れる。 これから離れる故郷を赤ん坊に見せ、きっとここへ帰ってこようと三人は頷き合う。 30 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/07(土) 00 18 38 ID Pkq2uv+m0 【三章:ヴァーゼル市街地戦】 ガリア公国東部国境を越えた帝国軍は、要害・ギルランダイオ要塞を始めとした ガリア東部の要所を次々と制圧していく。その中、ブルールを脱出した住民たちは ガリア公国首都、ランドグリーズへと避難していた。 国民皆兵制度に基き、ウェルキンとアリシアは義勇軍として軍に配属される。 ウェルキンは義勇軍第3中隊・第7小隊長に任ぜられる。階級は少尉。 アリシアもウェルキン付きの下士官として第7小隊に配属される。階級は軍曹。 出頭前、アリシアは着慣れない軍服姿の感想をウェルキンに求める。 腰部装甲がカブトムシみたいでかっこいい、とズレた(でも本気の)誉め方をする ウェルキンに呆れるが、頭部のスカーフ(登場時からずっとつけている)について 訊ねられると気を取り直して答える。 パン屋で働いていた時のスカーフである事。その頃の気持ちを忘れたくなくて また働ける時までつけていようと思っている事。 再びパン屋で働ける日が来たら買いに行くよ、とウェルキンは約束する。 義勇軍第3中隊長エレノア・バーロット大尉の下に出頭した際、ウェルキンは 第1小隊長として配属されていた学友、ファルディオ・ランツァートと再会する。 義勇軍としての初戦は、首都近郊の重要拠点・ヴァーゼル橋の奪還。 作戦会議中わざわざ嫌味を言いにきた総司令官・ダモン将軍をバーロットが 皮肉で追い返し、ファルディオは義勇軍を寄せ集めと見下すダモンの態度に 不快感と、ガリア軍が一枚岩でない事への懸念を露にする。 その会議で第7小隊に下された初任務は、ヴァーゼル橋奪還の前段階として 橋の西岸に構築された帝国軍拠点を制圧する事。 小隊に配属された部下、古参の対戦車兵ラルゴや突撃兵ロージー、そして エーデルワイス号の操縦手兼無線手として配属されたイサラ達を率いて 速やかに作戦を完了したウェルキンに、一人の女性が近付く。 従軍記者・エレット。突然の、そして矢継ぎ早の質問にうろたえるウェルキン。 そんなウェルキンを、ラルゴとロージーが冷ややかな目で見ていた。 余談:このゲームは「ガリア戦線記」と言う本を紐解く形で進行していく。 この本の著者が今回登場したエレットである(別名で書いてるけど) 31 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/07(土) 00 19 17 ID Pkq2uv+m0 とりあえず今回ここまで。読み易くなってると良いけどどうかなぁ。 このゲーム、クリアした分のイベントは後からいつでも見られるから 詳細の確認が楽でいいw 45 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/08(日) 01 00 30 ID Atd01Nkr0 空いてるようなので戦ヴァル第二陣投下します 46 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/08(日) 01 00 56 ID Atd01Nkr0 【四章:「春の嵐」作戦】 ヴァーゼル橋の西岸を確保し、橋を奪還する足がかりを得たガリア軍。 次は正規軍との合同作戦で橋そのものの奪還にかかる事になる。 義勇軍に与えられた任務は橋東岸の帝国軍拠点を制圧する事。 しかし橋上には帝国軍の橋頭堡が幾重にも築かれている。 これらを突破する際に、正規軍からの援助はあるのかと訊ねるファルディオに、 バーロット大尉は首を振る。正規軍は、義勇軍が敵の橋頭堡を攻略した段階で 攻勢を開始する。捨て駒扱いに舌打ちするファルディオをバーロットが宥める。 だが彼女自身も、帝国軍の強固な橋頭堡を、被害を抑えつつ突破する方法は 思いつかない。そんな中ウェルキンが橋の偵察を申し出て許可を得る。 そこへアリシアが駆け込んでくる。隊員同士が口論を起こしていて、隊長である ウェルキンに仲裁して欲しい、と言う。 ウェルキンがつれて行かれた先でイサラとロージー、ラルゴが睨み合っていた。 争いの理由は、ダルクス人であるイサラが小隊に参加している事。 ダルクス人なんかと一緒には戦えない、というロージーにイサラが反論する。 口論を止めるウェルキン。 しかしラルゴが、実戦経験の無い坊主の言う事など 誰も聞きやしない、と言う。彼らはウェルキンを隊長と認めてはいなかった。 それを悟ったウェルキンはラルゴに賭けを申し出る。 これから48時間以内にヴァーゼル橋を奪還する。失敗したら隊長を辞任しよう。 「その代わり作戦が成功したら、以後は僕の指示をきちんと聞いてくれるかな」 翌朝早く、ウェルキンは小隊を河岸に集めた。そこで発表された作戦の内容は 朝霧に紛れ、橋ではなく河を渡って東岸に上陸し、帝国軍拠点を落すというもの。 戦車は河を渡れないし、歩兵だけでは拠点は落せない、と反論するラルゴ。 ウェルキンは耐水処置を施したエーデルワイス号を潜水させ、河床を走らせて 東岸に渡すと言う。彼は河の植生から、戦車が渡れる場所を割り出していた。 河岸を警備していた帝国兵は、突然河面を割って現れた戦車に蹴散らされた。 防衛線に穴を空けたウェルキンは対岸に合図を送り、歩兵が一挙に河を渡る。 帝国軍拠点を奇襲・制圧した第7小隊は、ヴァーゼル橋の開閉施設をも占拠。 跳ね橋を強引に上げる事によって戦うことなく橋上の橋頭堡を一掃する。 予想以上に上手くいった作戦に、古参兵たちもウェルキンを認め始める。 ダルクス人への偏見という確執は払拭しきれていないものの、現れたエレットの インタビューに、皆の心を繋ぐ橋のような存在になりたいとウェルキンは答える。 47 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/08(日) 01 01 16 ID Atd01Nkr0 【五章:クローデンの森の戦い】 ヴァーゼル橋を奪還し、戦線を押し戻したガリア軍。それによって帝国軍は ガリア中部に戦力を集めざるを得なくなる。この動きに応じてガリア中部へと 向かう正規軍と離れ、義勇軍はガリア南部へと移動する。 南部の国境付近を覆うクローデンの森。慣れていなければ歩く事さえ困難な この森に、帝国軍がガリア中部侵攻のために建設した補給基地があるという。 その基地を制圧し、帝国軍の補給線を断つ事が作戦の主目的になる。 バーロットの説明を受けつつも困難な森林戦に気の進まないファルディオ。 対してウェルキンは珍しい植物が見られるかもしれないとワクワク気味。 ファルディオは呆れるが、よく見ていればきっと何かのヒントが隠されている というウェルキンの言葉には納得する。 一方の帝国側。本拠であるギルランダイオ要塞の作戦会議室(だと思う) 帝国準皇太子であり、ガリア方面軍総司令官でもあるマクシミリアンを筆頭に、 セルベリア・ブレス大佐、ベルホルト・グレゴール少将、ラディ・イェーガー少将、 それぞれガリア中部、北部、南部侵攻部隊の司令官が出揃っている。 帝国側も、中部に兵力を集めつつもクローデンの森の重要性は察知しており 南部方面軍の指揮を取るイェーガー当人が直に補給基地へ向かう事になる。 視点はガリア側に戻り、既に森に入った第7小隊。 ウェルキンは自然オタクっぷりを発揮し、悪気なくアリシアに山羊のフンを 渡したりして小隊員に呆れられるが、同時に獣道も発見する。 ロージーが元は酒場の歌姫だったなどの他愛無い会話をしながら進む中、 小隊は戦闘の巻き添えで親を失ったハネブタ (羽生えた豚) の子供を拾う。 子豚を抱き上げるアリシアに、連れて行くかい?とウェルキンは声をかける。 僕達は義勇軍なんだから誰が隊員になったっていい、と。 エーデルワイス号を中心に進む本隊と、獣道を進む分隊に別れて進軍。 分隊が対戦車砲を背後から奇襲して無力化し、本隊は基地に肉薄する。 そこで帝国側にイェーガーが到着するが、彼は状況を見て基地の死守は 無意味と判断。基地から必要な物資を引き上げさせる間、自ら矢面に立って 小隊の侵攻を食い止める。最終的に基地は制圧したものの、イェーガーの 指揮する戦車の堅牢さや、その鮮やかな撤退にウェルキンは舌を巻く。 余談:拾われた子ハネブタはハンスと名付けられ、小隊の一員となる。 階級は三等兵(アリシアが勝手に任命) 小隊員に可愛がられつつも ラルゴとのぶつかり稽古とか、訓練(?)もちゃんとしているそうな。 48 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/08(日) 01 01 42 ID Atd01Nkr0 【六章:砂漠の遭遇戦】 今度はガリア中部のバリアス砂漠に派遣された義勇軍第3中隊。 荒れ果てた大地は、ダルクスの災厄で焼き払われた都市の跡だという。 あまりの景色に、災厄の規模と力の大きさを実感する小隊の面々。 この砂漠にある遺跡の周辺に、帝国軍が布陣していると言う情報があり その真偽の確認と、事実だった場合は帝国軍の目的の調査が任務となる。 一方また帝国側。場所はやはりギルランダイオ要塞内の作戦会議室だが いるのはグレゴールとイェーガーの二人のみ。マクシミリアンとセルベリアは バリアス砂漠へ赴いていた。セルベリアを伴って行ったのならば、理由は ヴァルキュリアに関わる事だろうと推測するイェーガー。一方グレゴールは マクシミリアンがヴァルキュリアの力に固執気味である事を懸念する。 対し、イェーガーは力があるならそれだけ道のりは短くなるだろう、と言う。 我が故国のためにも、マクシミリアンには勝ってもらわなければ、と。 再び舞台はバリアス砂漠。発見した帝国軍と交戦に入る第7小隊。 地溝や岩、砂嵐など周囲の環境を利用して帝国軍の拠点を制圧する。 向かった遺跡の前でファルディオと遭遇。大学で考古学を学んでいた彼は 遺跡内部の偵察と調査とを任されていた。彼は、この遺跡は何千年も前に ヴァルキュリア人が作った物だと説明する。聞き入る小隊の皆を尻目に、 一人考え込んでいたウェルキンが突然 「思い出した!」 と大声を上げる。 「ツノオウムガイだ! この遺跡、ツノオウムガイに似てるんだ!」 またか、と呆れるアリシア。 何事も無かったように聞き流して、ファルディオは遺跡内部に入っていく。 ウェルキンとアリシアは、小隊員に周辺の偵察を任せて彼に同行する。 そのころ、当の遺跡の最深部にはマクシミリアンとセルベリアがいた。 青い光を身に纏ったセルベリアに応じ、遺跡の壁にあった古代の文字が 同じ光を以って浮かび上がる。マクシミリアンの問いに答えるセルベリア。 「大地を焼きし 『聖槍』 は、ランドグリーズの地に封じられたり」 頷くマクシミリアンに、どう制御なさるおつもりですか、と訊ねるセルベリア。 マクシミリアンは答える。槍を載せて走るネズミがもうすぐ完成する、と。 「これで我が野望は、夢から確信へと変わった。余は、ヨーロッパに 君臨する王となるのだ」 余談:イェーガーはかつて帝国に併合された小国・フィラルドの出身で 故国の復興・独立を目指してマクシミリアンの幕下に加わっている。 49 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/08(日) 01 03 00 ID Atd01Nkr0 【七章:バリアスの決戦】 遺跡の内部に入る三人。壁面には古代の文字で何かが綴られている。 ファルディオの解読で、この地を襲ったダルクスの災厄を語る文だと分かる。 そしてダルクス人を倒し、ヨーロッパを平定したと言うヴァルキュリア人。 ファルディオの解説を聞きながら、御伽噺だと思っていた、と言うアリシア。 その頃遺跡の外では再びロージーとイサラの衝突が起きていた。 ラルゴの制止で騒ぎには至らなかったが、二人の態度は和解には程遠い。 遺跡調査組は遺跡の最奥部、ヴァルキュリア人のシンボルとも言われている “ヴァルキュリアの螺旋” の前に辿り付く。ここまでただ一人の敵兵にさえ 出会わなかった彼らは、調査を切り上げて外へ戻ろうとする。 その時、突然 “ヴァルキュリアの螺旋” がまるで扉のように開いた。 “螺旋” の前に立っていたアリシアは、ただ手を触れただけだと言う。 遺跡に深部があった事に驚くファルディオ。一行は調査を続けようと奥へ入る。 “螺旋” の先は下へと続く螺旋階段。壁面にはやはり文字が刻まれている。 文字に目を走らせ、愕然とするファルディオ。ウェルキンが内容を訊ねるが、 ファルディオは僅かに間をおいて、ここの文字は自分にも読めない、と答える。 アリシアが気配に気づく。こちらを認めながらも悠然とすれ違って行くのは マクシミリアン。彼の正体に気づく一行。アリシアは銃を抜いてその背中に 照準するものの、彼に付き従うセルベリアが身に纏う青い光に気圧される。 相対したのがヴァーゼルやクローデンの戦いで巧みに帝国軍を破ってきた ウェルキン・ギュンターの隊だと知ったマクシミリアンは、外で雌雄を決しよう、 と言って出て行く。 外に出るとマクシミリアン自身が搭乗する巨大戦車・ゲルビルが現れる。 ガリア側の拠点を、制圧どころか蹂躙しながら進む戦車に手を焼く第7小隊。 ファルディオの第1小隊は、これもやはりセルベリアの部隊に圧倒される。 ゲルビルのラジエーターを破壊しつつ食い下がるが、遂に第1小隊を退けた セルベリアが敵援軍として現れる。銃ではなく、石製にも見える槍と盾を携え 青い光を纏うセルベリア。その姿は伝説のヴァルキュリア人を連想させる。 彼女の猛攻をかわしつつ何とかゲルビルを破壊する第7小隊。 しかし、あろうことか生身に槍と盾で戦車砲すら弾き返すセルベリアを前に、 マクシミリアンを捕える事は適わなかった。 何とか帝国軍を退けはしたものの、受けた被害の大きさと目の当たりにした セルベリアの強大な力に、誰もが暗澹たる思いを抱くのだった。 50 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/08(日) 01 06 55 ID Atd01Nkr0 やっとヴァルキュリア登場したところで今回ここまでー 63 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/11(水) 00 54 59 ID fL/xt6B40 戦ヴァル第三段いきまーす 段々長くなってきた 64 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/11(水) 00 57 33 ID fL/xt6B40 【八章:森林の包囲網】 バリアス砂漠から帰還する途中、突然の砲撃を受けてウェルキンとアリシアは 小隊から逸れてしまう。二人は小隊との合流を目指して夜の森を歩き出すが、 アリシアは脚を捻っており、ウェルキンの知識で森から薬草を得ながら進む。 警戒網を抜けた先に無人の山小屋があった。薬草での応急治療を施す中 アリシアは、なぜ自然に興味を持つようになったのかをウェルキンに訊ねる。 父さんの影響だと思う、とウェルキンは答える。父とよく遊びに行ったと。 父は悩んでいた。母は戦火で命を落とし、最愛の人すら守れなかった父は それでも周囲からは英雄と称えられ続けた。自分は何のために戦ったのか、 いつも苦しんでいた。でも、自然の中にいる時は明るくて元気な父だった。 「父さんを笑顔にしてくれるから、僕は自然を好きになったのかもしれない」 山小屋に一人の帝国兵が入ってくる。銃を構え、制止するウェルキン。 だが、そのままその場に倒れる帝国兵。負傷兵だと気づいた二人は何とか 手当てを試みるが、手の施しようがない。帝国兵は手を伸ばし、母を呼ぶ。 手を握り、大丈夫、ここにいる、と言ってやる事しかできないアリシア。 二人の見守る中で、負傷の帝国兵は息を引き取った。 一方、残された小隊の面々。二人を探すラルゴとロージー、捜索に参加せず エーデルワイス号の整備にかかりきりのイサラ。こんな時によく整備なんか していられるな、と言うロージーに、こんな時だからです、とイサラは答える。 いつ兄が帰ってきてもいいように準備を整えておく事が、今の自分にできる 最良の事だと思います、と。驚いた顔のロージーと、イサラを気遣うラルゴ。 翌朝、帝国兵を埋葬したアリシアとウェルキン。彼の銃を立て、ヘルメットを 置いた墓を前に、帝国兵も自分たちと同じ人間で、家族がいる事を実感する。 自分には家族がいない事を告白するアリシア。孤児院育ちで親を知らない。 でも悲しませる人がいないのなら、一人ぼっちも悪くないかも、と笑う彼女に 今は僕もイサラも、小隊の皆が君の家族じゃないかと言うウェルキン。 そこへ帝国の兵士と、士官が現れる。墓と、山小屋内の治療を跡を見て、 彼らは二人に感謝を述べ、危害を加えることもなく去っていく。 その後二人は近くで交戦中だった小隊と合流して帝国側戦力を撃退する。 二人を敬礼で迎える小隊員。ラルゴとロージーに、兄を探してくれた事への 礼を言うイサラ。ロージーはダルクス人に礼を言われても嬉しくない、と ソッポを向くが、それが単なる照れ隠しなのは傍目にも明らかだった。 65 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/11(水) 00 58 20 ID fL/xt6B40 【九章:七月事件】 日頃の戦果が認められ宮殿の晩餐会に招かれたバーロット、ウェルキン ファルディオの三人。ガリア公・ランドグリーズ家の現当主は弱冠16歳の コーデリア姫。彼女はヴァルキュリアの血を引いているとも言われていた。 前部中央にそびえる塔のため、一角獣に形容されるランドグリーズ城。 晩餐会は、ガリアと連邦の同盟を発表するためのものだった。 中立の国是を覆す同盟は、宰相ボルグと連邦大使の握手で締結される。 交わされる握手を表情もなく見る姫。ボルグと連邦大使が口を揃える、 ヨーロッパを我らの手に、という言葉に国を守りたいだけの義勇軍との 思いの剥離を覚える。不愉快な茶番だとファルディオは先に帰ってしまう。 晩餐会が終了し、帰ろうとしたところでバーロットが何者かとぶつかる。 翼を模し頭を覆う白の冠物に一角獣の額冠。なんと相手はコーデリア姫。 咎める様子もない姫に、ウェルキンは同盟に賛成なのですかと訊ねる。 晩餐会を見て姫の意思が無視されているような気がした、と。 姫は答える。国政は宰相に任せている。ガリアの地と、ヴァルキュリアの 血統を守るのが私の宿命。私の意思は必要ない。自らを傀儡と認め、 それを是とするコーデリア姫に言葉を失うウェルキン。 城を出るとダモン将軍が飛んでくる。姫が連邦大使に誘拐されたと言う。 一方、深夜の整備場。ガリア軍兵器の整備・開発を担当しているリオンと クライスが一機の飛行機を発見する。そしてそこにはイサラの姿が。 小さい頃空を飛びたいと言っていた兄の夢を叶えたくて、休日に少しずつ 作っていると言う。手伝いを申し出た二人に、イサラは礼を言って快諾。 そこに緊急出撃のサイレン。すぐにエーデルワイス号を出す事に。 逃走する装甲車を止め、なんとか姫を救出する第7小隊。助出された姫に いかに宿命が重くても、自身の意思を捨てないで下さいと言うウェルキン。 頷くコーデリア。 後日、ウェルキンは勲功賞を授与される。 授与の席でコーデリアは言う。まだ答えが出た訳ではないが、あれから ガリアの姫として、一人の人間としてどう生きるかを、ずっと考えていると。 小隊長室に戻ったウェルキンはファルディオの訪問を受ける。 ファルディオは今回の事件がボルグの圧力で報道されていないと言う。 帝国だけで手一杯の現状、連邦とまで事を構える訳には行かないからだ。 いかにガリアが弱い立場なのか思い知ったと言うファルディオ。更に軍さえ 一枚岩ではない。この国は大丈夫なんだろうか、と彼は懸念を口にする。 66 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/11(水) 01 00 56 ID fL/xt6B40 【十章:ファウゼン解放戦】 ガリア北部の工業都市ファウゼンの奪還に当たる事になった義勇軍。 ラグナイト産地であるファウゼンを奪還できれば国内の生産力を回復できる。 帝国軍が防衛に配備した装甲列車・エーゼルの破壊を任される第7小隊。 ファウゼンでは帝国によって狩り集められたダルクス人たちが、強制労働に 従事させられている。そのダルクス人の中に義勇軍の協力者がいるらしい。 そこでまたロージーとイサラの言い合い。ラルゴの仲裁も板に付いてきた。 夜陰に乗じてファウゼンに潜入し(戦車で潜入も何もないだろうとも思うが) 辿り着いたダルクス人収容所で小隊が見たのは、家畜のように扱われている ダルクス人たち。彼らのリーダーであるザカが、義勇軍の協力者だった。 目の当たりにしたダルクス人の現状に動揺しつつも、やはりダルクス人との 共同戦線は面白くないロージー。それを察したザカは好きなものはあるかと 彼女に尋ねる。意図を量りかねながらも、歌が好きだと答えたロージーに、 良いね、俺も好きだよと言うザカ。歌にも色々な物がある。それぞれ違うが、 それぞれ良さがある。人間も人種も、それと同じなんじゃないのか、と。 翌朝に作戦開始。装甲列車エーゼルはファウゼンの渓谷に掛かる高架上。 ザカが高架の支柱に爆弾を設置し、彼の退避を待って起爆する。 装甲列車エーゼルは高架と共に渓谷へと落下。エーゼルに搭乗していた 帝国軍北部ガリア侵攻部隊司令官ベルホルト・グレゴールも運命を共にした。 勝利した小隊に突如知らせが入る。帝国軍が、ダルクス人たちの宿舎に 火を放ったと言うのだ。駆けつけた小隊の前には焼け落ちた宿舎の跡だけが 広がっていた。黒焦げの残骸に歩み寄るロージー。彼女の目に映ったのは、 残骸の中、煤に汚れて落ちている人形。昨夜、宿舎で会った幼い少女が 手にしていた物だった。思わず人形を拾い上げ、復讐を叫ぶロージー。 その彼女を制止したのは、多くの同朋を宿舎ごと焼き殺されたザカだった。 暴力は暴力を呼ぶ。それでは争いは終わらない。例え迫害されていようと、 俺達は誇りをもって生きている。報復はしない、それがダルクス人の生き方だ。 そう言って一人残骸に入り、焼け崩れた柱を片付け始める。無言のまま 手伝いに進み出るイサラ。そして、そんな二人をロージーが手伝い始める。 ファウゼンを奪還し、帰還した第7小隊。開放されたダルクス人達の行く末を 案ずる彼らの前に義勇軍の軍服を纏ったザカが現れる。今日から義勇軍に 入り、しかも第7小隊に配属されたと言う。戦車兵の実戦経験もあるという 彼を加え、第7小隊にも二両目の戦車がやってくる事となった。 67 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/11(水) 01 03 34 ID fL/xt6B40 【十一章:マルベリー攻略戦】 今度の戦場はガリア北部のマルベリー海岸。砂浜の奥には断崖があり、 道も狭い上に断崖には銃座が設置されている、鉄壁ともいえる陣である。 明日は精霊節(大事な人に贈り物をする日)だというのに気が重くなる一同。 サロンで休憩中のラルゴとロージーに、イサラがある物を差し出す。 ファウゼンの収容所でも見た人形。それはダルクスに伝わるお守りだった。 それを二人に渡したいと言うイサラ。何で俺らに? とラルゴは尋ねる。 お二人と、ずっと仲良くなりたかった、と言うイサラ。精霊節にあやかって 大切なお二人と親しくなれればと思った、と。照れながら受け取るラルゴ。 だが、ロージーはそれを断る。ラルゴが宥めようとするが逆効果。むしろ はねつけるような言葉が飛び出してしまい、イサラは俯いて去ってしまう。 翌日、精霊節であり作戦当日。遅れて小隊長室に飛び込んで来たイサラは 煙幕弾が完成した、と言う。朝まで寝ないで作っていたらしいイサラは言う。 「私、第7小隊の皆が好きです。誰一人……死なせたくないんです」 小隊は煙幕によって銃座を無力化し、海岸の帝国軍拠点を制圧する。 戦闘が終わった後、いつも通りエーデルワイス号の点検をしているイサラに ロージーが近づく。その手にあるのは、昨日イサラが渡そうとした人形。 役に立ったよ、と言うロージーにイサラは驚く。持っていてくれたんですか、と。 お返しをしなくちゃな、というロージー。イサラは少し考えてから答えた。 「歌が好きだって仰ってましたよね。ロージーさんの歌、聞いてみたいです」 驚きながらも、分かった。約束するよ、と自分から手を差し出すロージー。 響く銃声。 イサラが倒れる。 他の小隊員が応戦する中で一人反応できないロージー。 「アタイ……まだアンタに、ありがとうを言えてないじゃないか!」 伸ばされた手を握る。「握手……できました、ね」 微笑むイサラ。 小隊の反撃に撤退していく帝国兵。皆がイサラとロージーに駆け寄る。 抱き起こすウェルキンに、一緒に飛行機で空を飛びたかった、と言うイサラ。 きっと一緒に飛べるさ。そう言った兄に微笑みかけて、ゆっくりと目を閉じる。 後日、戦没者墓地。ダルクスのストールを掛けられた真新しい墓に向かって 敬礼する義勇軍の面々。皆で彼女の願いを受け継ぎ、叶えていく事を誓う。 進み出たロージーが、約束していた通りに、墓前に歌を捧げる。 歌声は風に乗って、青空へと昇っていった。 68 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/11(水) 01 04 42 ID fL/xt6B40 今回ここまで。 ベルホルト・グレゴール少将、小隊への顔見せたったの一度で御退場 将軍クラスの敵さんの中ではぶっちゃけ一番影が薄いと思う 78 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/12(木) 21 59 00 ID nwb90YY40 戦ヴァル第四段投下。今回ちょっと断章が入ります。 本筋とはあまり関係の無いエピソードが幾つか断章として出てくるんですが 今回のこれはちょっと入れないと話がわからなくなるので。 79 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/12(木) 21 59 39 ID nwb90YY40 【十二章:ブルール奪還戦】 イサラを喪って三週間が過ぎた。第7小隊に与えられた新たな任務は、 バーロットがダモン将軍に上申し、許可を得たものだと言う。国境近くの街 ブルールの奪還。今は欠員となっているエーデルワイス号の操縦士として 整備開発部で働き、イサラとも顔なじみだったクライスが志願、配属される。 五ヶ月ぶりに戻ってきた故郷・ブルール。必ず帰ってこようと誓った場所だが 共にそれを約束したイサラは既にいない。しかし将軍に上申してまで今回の 攻略目標をブルールと決定したバーロットの気遣いを無駄にしないためにも 今はイサラの、そして自分達の故郷を取り戻そうと決意するウェルキン。 一方、今回の作戦に参加しないファルディオは、バリアス砂漠の遺跡にいた。 あの時 “螺旋” の奥にあった文字を「読めない」と答えたが、実は読めていた。 濁してしまったのは内容があまりに衝撃的だったためだ。そしてその内容故に “螺旋” をヴァルキュリア人だけが開ける門なのだろうと結論するファルディオ。 ならばそれを開いたアリシアは…… ファルディオは苦悩する。自分は一体どうするべきなのか。 ブルールを奪還した第7小隊。初めて出会った丘から街を見渡すウェルキンと アリシア。住民も少なく、親子風車も壊れたままの街に寂しさを覚える。 ふと、小さな白い花を見つけたウェルキン。アリシアを呼び、見せたそれは コナユキソウの花だった。二人が出会った時にアリシアが捲いた種が根をはり 花を咲かせていた。「新しい命も、この時代に生まれている」 実感する二人。 ブルールの奪還で目標を再確認したウェルキン、中隊に戻ったファルディオに バーロットはガリア北東部の平原・ナジアルに帝国軍が結集していると告げる。 この戦がガリアの運命を決めると予想し、休息の後ナジアルへ移動する事に。 その夜。丘の上のエーデルワイス号と、その上に座るウェルキンとアリシア。 またたくさんの命が喪われる、と言うアリシアに頷くウェルキン。喪ったものは 戻らない。でも、アリシアが教えてくれたように、新しいものを育むことはできる。 次の戦いで勝てれば戦争も終わりに近づく。そうしたらブルールを復興しよう。 自分にとっての、お互いの存在の大きさを確認しあう二人。アリシアは言う。 「この戦いが終ったら……あなたに、伝えたい事があるの」 余談:ブルールを奪還した時点で、エレットが発行している壁新聞に ランドグリーズ大学からヴァルキュリアの槍と盾と考えられていた 古代の遺物2点が盗まれたという記事が載る。 81 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/12(木) 22 00 20 ID nwb90YY40 【十三章:ナジアル会戦(前編)】 ガリア・帝国両軍の主力部隊が集結するナジアル平原。 総兵力で帝国軍に大きく劣るガリア軍だが、総司令官ダモン将軍はコネ就任の ダメ司令っぷりを発揮して総攻撃を命令。バーロットの諫言など意にも介さない。 待機中の第7小隊。帝国軍の大兵力を前に、空気は重い。そんな中で、自分の 身の上を話し出すアリシア。ずっと一人ぼっちだと思っていた。でもウェルキンが 第7小隊の皆が私の家族なんだと言ってくれた。戦いの前は、やっぱり怖い。 「……でも、家族が一緒にいてくれるって考えると、頑張れる気がするんだ」 その言葉に小隊はいつもの明るさを取り戻し、戦いに臨む覚悟を新たにする。 一方帝国側。ガリア軍を蹴散らし殿下をランドグリーズへ、と息巻くセルべリア。 物心つかぬ内から実験施設に送られ、兵器として実験材料にされていた彼女は 初めて自分をそこから連れ出し、人間らしい生活を与えてくれたマクシミリアンに 絶対の忠誠を誓っていた。彼のためにヴァルキュリアとしての力を覚醒させようと 自ら胸を貫きさえした。 「必ずや、余に勝利をもたらせ」 というマクシミリアンの 言葉を受け取って、セルベリアが出撃する。 古代の石槍・石盾を手に陣頭に立つセルベリア。全身から青い光を放って 無謀な全面攻勢をかけるガリア軍を蹂躙する。戦車ですら足止めにもならない。 第7小隊の担当区域は離れているものの、帝国軍は区域全体にロケット砲での 砲撃を加えており、これを避けようの無い戦車は出撃ができない。 前大戦の名残でもある幾多の塹壕を通って、まず砲撃の照準情報を送っている 中間拠点を制圧。砲撃が止んだ所でウェルキン&クライス、ザカの戦車が出撃。 だが同時に、他区域のガリア軍を撃滅したセルベリアが現れる。 やはりセルベリアに対しては勝機が見出せない小隊。セルベリアにこちら側の 本拠点を制圧される前に帝国側の拠点を制圧する事で、なんとかセルベリアを 退かせる事に成功する。だが、ガリア軍側にできたのはたったのそれだけ。 ヴァルキュリアの力と、あまりに甚大な被害に呆然とする一同。 帝国軍が撤退したとは言え、このままでは拠点を維持する事も難しいと判断した ウェルキンは、後方部隊に支援を要請しようとする。応じてアリシアが小隊員を 集めようとしたとき、一発の銃声が暗天を貫いた。その場に倒れるアリシア。 ウェルキンが駆け寄り、小隊は警戒体勢に入るが帝国兵の姿はどこにもない。 82 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/12(木) 22 00 59 ID nwb90YY40 【十四章:ナジアル会戦(後編)】 撤退した第7小隊。幸い急所は外れていたもののアリシアは意識不明の重体。 治療所のテントを出ようとするウェルキンに衛生兵が声をかける。人目を避けての 報告は、アリシアの体内から摘出された弾が帝国軍のものではなく、ガリア軍の 狙撃銃のものだった、というもの。しかもまだ一般兵には渡っていない新型銃弾。 つまり、彼女を撃ったのは味方である可能性があるという事だった。 ガリア軍の作戦会議室。兵士を役立たずと罵るダモン将軍。ここは一旦退いて ヴァルキュリアへの対策を、というバーロットの言葉は相変わらず無視される。 退けば自分の指揮能力を疑われる、というだけの理由で、ダモンは明日正午に 再び帝国軍陣地に総攻撃を加えよと命令する。このままではガリア軍は全滅。 どうしたらいいの、と呟くバーロット。 治療所のテントに踏み込む人影がある。眠るアリシアの胸元に置かれるのは 巻貝にも似た螺旋状の石槍。石槍が放った青い光がアリシアを包んでいく。 再び帝国軍の陣頭に立つセルベリア。ヴァルキュリアの光にたじろぐガリア軍。 その背後から一人の少女が進み出る。茶色の髪を銀に、茶色の瞳を赤に染め、 光を纏ったアリシア。髪も瞳も光も、全ての色がセルベリアと酷似している。 もう一人のヴァルキュリアの存在を知ったセルベリアはアリシアに戦いを挑む。 応じるアリシアは、意識も無いのか頼りなくふらつく足取りでガリア軍の前へ。 だが、瞳の焦点すら合っていないアリシアはあっさりとセルベリアを下す。 続けて、やはり無意識のまま帝国軍の戦車や銃座を破壊していくアリシア。 小隊は拠点を制圧するが、アリシアは途中で力を使い果たしたように倒れ、 気を失う。すぐに彼女を回収し退避させるウェルキン。 その時、戦場の両端に帝国の戦車と歩兵の増援が現れる。敵の挟み撃ちに 遭いながらも、何とか両戦車を破壊する第7小隊。 もう一人のヴァルキュリアの出現という予期せぬ事態で、大きな戦力差を覆し 勝利を収めたガリア軍。しかし、アリシアは何があったのかを覚えていない。 傷は何時の間にか治ってしまっているし、周りの人の態度がいつもと違う。 自分に何があったのかを尋ねられ、どう答えていいか分からないウェルキン。 余談:ここで章は切れてるけど、後の会話を見るにどうやら説明はした模様 83 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/12(木) 22 01 36 ID nwb90YY40 【断章:決別】 ウェルキンの元にクライスがやってくる。携えてきたのは先日の弾丸と、その 出所の調査結果。やはり結果はガリア軍で開発中の新型狙撃銃の弾丸。 そしてその銃を事件前夜に借出した者がいる、という記録。記録にある名は ファルディオ・ランツァート少尉。驚くウェルキンの前に並べられる情報は しかし全てがファルディオへの疑惑を裏付けるものばかり。 信じたくない思いでファルディオの部屋を訪ねるウェルキン。留守の部屋内で ウェルキンが見たのは、所狭しと並ぶヴァルキュリア人関連の文献・研究書。 そして机の上にあるメモ。 アリシアをヴァルキュリア人と断じたファルディオが、彼女を覚醒させるための 計画の概要をまとめ、それを実行した事を告白するものだった。 ヴァルキュリア人としての力に覚醒するには、命に関わる傷を負うことが条件。 親友の恋人を撃ったことを後悔した。しかし、今はこれでよかったと思っている。 そう、メモは締めくくられていた。 ファルディオはバーロットに呼び出されて行った、と聞いたウェルキン。 中隊長室に入るなり当人に疑惑をぶつける。言い訳もなく認めるファルディオ。 そんな彼をウェルキンは殴り胸倉を掴む。何故アリシアを撃った、という問いに ガリアのためだ、と答えるファルディオ。アリシアの力が無ければ勝てなかった。 今だけの事じゃない。二つの強国の狭間にあるガリアが生き残っていくには ヴァルキュリアの力が、切り札が必要だ。 ウェルキンはその言葉を否定する。 強い力を持っても戦争は終らない。相手がそれ以上の力を持とうとするだけだ! 二人の争いをバーロットが止める。きっとどちらの言う事も間違いで、どちらの 言う事も正しい。だが、いかなる理由があろうと仲間を撃った罪は許されない。 軍規に基づきファルディオは逮捕監禁。 ウェルキンには私闘を行った罪で独房24時間収監が言い渡される。 余談:メモに遺跡の “螺旋” の奥の壁に書かれていた内容も記されている。 「ダルクスの災厄」の真実。実は災厄を振りまいたのはヴァルキュリア人で この地の先住民だったダルクス人を焼き払い、平定した後にその責任を 敗者であるダルクス人に転嫁した。以来、ダルクス人は呪われた民となり ヴァルキュリア人は救世主となった──というもの。 他民族には偽の歴史を、ヴァルキュリア人だけに真実の歴史を伝えるため バリアスの遺跡が作られたものと思われる。 84 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/12(木) 22 03 28 ID nwb90YY40 今回ここまで。 断章は他にもあって、中には戦闘が起きるものもあり。 小隊の休暇風景だったり、ラルゴが野菜のために戦車を破壊する話だったり バーロットが前大戦での因縁の相手に復讐をはたそうとする話だったり ダルクス狩りの帝国軍を倒す作戦をロージーが進んで受ける話だったり あとはまぁ、アリシアとウェルキンが仲良くしてる話だったりと色々。 87 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/14(土) 08 13 25 ID GMNM86TZ0 連続でしかも朝っぱらから戦ヴァル投下。 今回分で終るかと思ったら終らなかった。 88 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/14(土) 08 14 22 ID GMNM86TZ0 【十五章:ギルランダイオ要塞戦】 国境のギルランダイオ要塞が、ガリアにおける帝国最後の拠点となった。 要塞へ通じる輸送線路に、爆薬を載せた車両を走らせて要塞正門を爆破する、 そのために線路のポイントを切り替えろという命令が義勇軍に下る。 帝国側。どうか今一度機会を、殿下の為に戦わせて下さいと言うセルベリアに マクシミリアンは告げる。この地に集ったガリア軍の主力を、ヴァルキュリアの “最期の炎” をもって殲滅せよ。愕然とするセルベリア。 ランドグリーズから使者が来ている、と言うイェーガーに、待たせておけと言い 一度本国に戻る、と言うマクシミリアン。膝をつくセルベリアに振り向かぬまま マクシミリアンは去る。彼女を一瞥し、すまん、と呟いてイェーガーも出て行く。 探しに来たウェルキンを前に無理に明るく振舞うアリシア。コナユキソウの花を ウェルキンの胸元に挿し「いい感じだよ」と笑うが、不意に俯いて縋り付く。 ファルディオの事を聞いた、陣中を歩いていると皆が自分を拝む、と言う。 どうしたらいいのか、これからどうやって生きていけばいいのか分からない、と。 だがウェルキンが答える前に、無理な笑顔を作って逃げるように去ってしまう。 作戦開始。全てのポイントを切り替え、爆弾列車を要塞に導く事に成功すると 城壁上にセルベリアが現れる。ヴァルキュリアとして敗北した上は、人として 戦いを挑むと言うセルベリア。なんとか撃破する小隊。 ヴァルキュリアである事にどうして耐えられるのですか? と尋ねるアリシア。 愛する人がいるからだ、とセルベリアは答える。そこにダモン将軍が現れる。 セルベリアは捕虜となった部下には手を掛けないで欲しい、そしてできれば 彼らの護送を義勇軍に頼みたい、とダモンに願い出る。了承するダモン。 連行の直前、セルベリアはアリシアに言う。私は自分の人生に答えを出した。 もう会うことも無いだろうが、お前がどういう答えを出すのか興味がある、と。 司令官の椅子にご満悦なダモン。その前に捕らえられていたセルベリアが 突如戒めを引き千切る。驚いたダモンは即座に兵士に射殺を命じた。 そして、ヴァルキュリア人が死ぬ瞬間に発動される、最期の炎が要塞を包む。 「マクシミリアン様……どうか、栄光をその手に!」 ガリア軍主力の全てを巻き込んで、ギルランダイオ要塞は吹き飛んだ。 捕虜護送のため要塞を離れていた義勇軍中隊の中、アリシアは呆然とする。 これがセルベリアの出した答えなのか。更ににそこへ緊急入電。正体不明の 巨大兵器がクローデンの森を突破して、首都ランドグリーズへと向かっている。 89 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/14(土) 08 15 33 ID GMNM86TZ0 【十六章:「乙女の盾」作戦】 森を破壊しながら首都ランドグリーズへ進む巨体。既に戦車ですらないそれは 帝国軍の陸上戦艦・マーモット。その艦橋でギルランダイオ要塞とガリア軍の 主力部隊消滅の報告を受けるマクシミリアン。表情には何の感動も無い。 義勇軍は首都防衛大隊と共同でマーモットを枯れ谷へと誘い込み、地雷原に 誘導した上で首都防衛大隊の火力をぶつける作戦に出る。 考え込むウェルキンに物言いたげなアリシア。だが結局彼女は何も言わない。 首都ランドグリーズ。報告を受けたコーデリア姫は自ら出陣する意思を固める。 だがそれを阻む者がいた。宰相ボルグ。姫の身を「大事な取引材料」と評する ボルグをコーデリアは睨み付ける。この国を帝国に売り渡すつもりか、と。 ボルグは、ガリアは新たな国に生まれ変わると言う。それも己が統治の下で。 一方の義勇軍側。爆薬で崖崩れを起こし、マーモットの進路を誘導する事には 成功するものの、ガリア軍全火力を以ってしてもマーモットには歯が立たない。 そんな中、崩壊する戦線を悠然と突っ切るマーモットの前にアリシアが立った。 思わずエーデルワイス号を飛び出し、彼女の下へ走るウェルキン。 再びヴァルキュリアの色と光を纏ったアリシアは、マーモットの砲撃を掻い潜り 右手の石槍を投擲。槍はマーモットの装甲を易々と貫き爆発を引き起こす。 「私は、ヴァルキュリア……もう、皆と一緒にはいられない……」 炎のように膨れ上がる青い光を纏ってアリシアは歩み続ける。 彼女の姿に不吉な物を覚えるマクシミリアン。マーモットは全速で離脱を図る。 マーモットが回頭していくのを前に、一度は砲撃で吹き飛ばされたウェルキンが ようやくアリシアに追いつく。私が死ねば沢山の人が助かる、と言うアリシアに そんな力で勝ったって本当の勝利じゃない、と叫ぶウェルキン。自分達の力で 掴み取らなければダメだと。でも、私は貴方たちとは違うと言うアリシア。確かに 君は僕達とは違う力を持っている。でもアリシアはアリシアだと言うウェルキン。 そして彼は言う。僕は君を愛している、と。 ギルランダイオ要塞に向かう前に、アリシアが挿してくれたコナユキソウの花を 胸元から抜き、茎で輪を作ってアリシアの左手を取り、薬指に通す。 「戦いが終ったら、一緒に暮らそう。僕はずっと……君と一緒にいたい」 二人の口付けと共にヴァルキュリアの青い光は緑光となって弾け、消えた。 小隊員に冷やかされつつも暖かく迎えられる二人。 全員が揃った第7小隊はマーモットを追撃し、首都ランドグリーズへ向かう。 90 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/14(土) 08 17 03 ID GMNM86TZ0 【十七章:ヴァーゼル橋突破戦】 首都を目指す義勇軍中隊はヴァーゼル市街に到達。以前西から東へと進軍し 奪還したヴァーゼル橋を今度は逆に渡る事になる。街には帝国軍の戦車隊と 彼らを率いるラディ・イェーガー当人が駆る新型戦車・ケーニヒヴォルフ。 その強固な装甲を何とか破壊し、イェーガーを撃破する小隊。 義勇軍勝利で戦いの終ったヴァーゼル市街地。大破したケーニヒヴォルフを 見上げながら撤退完了の報告を聞くイェーガーは、報告に来たその兵士にも ランドグリーズへ脱出しろと言う。そして、自身はもう帝国には戻らないとも。 自分はマクシミリアンの力に、故国の独立と復興を賭けた。軍事力こそが 国を護るための力だと思っていた。だが本当に必要だったのは故郷や仲間を 思う心なのではないか。イェーガーは兵士にマクシミリアンへの伝言を託す。 「真に強きものは弾丸に非ず。マーモットと聖槍を過信するなかれ」 見送る兵士の敬礼を背に受け、イェーガーは黒煙の中に姿を消す。 ヴァーゼル橋を渡り、やっとランドグリーズへ進撃が可能になった義勇軍に とうとうマーモットが首都に到達、城門を破り城に突入したと知らせが入る。 (本当に街の大通りを驀進して城の前部に艦首を突っ込むという暴虐っぷり) 余談:人物総覧ではイェーガーはこれ以降消息不明、となっている。 マクシミリアンに伝言が伝わったか否かは不明。たぶん伝わってないぽ。 まぁ伝わってても何も変わらなかった気もするが。 91 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/14(土) 08 19 19 ID GMNM86TZ0 3将が全員退場して今回ここまで。 次回で終ります。 106 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/15(日) 23 45 01 ID 22BytXjO0 戦ヴァル最後投下ー 107 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/15(日) 23 45 34 ID 22BytXjO0 【終章:最終決戦】 とうとう帝国の突入を許してしまったランドグリーズ城。コーデリア姫の前に 正装(たぶん)のマクシミリアンが現れる。宰相ボルグは姫の了承も得ずに 無条件降伏・帝国への従属等を申し出るが、マクシミリアンはガリアに 帝国の属国になれとは言わない、という。彼は自らがガリアの大公となり、 ランドグリーズ城に眠る “聖槍” を以って大陸に覇を称えんとしていた。 今も威光衰えぬヴァルキュリアの血統は我が妻に相応しい、とコーデリアに 婚姻を迫るマクシミリアン。その目前でコーデリアは冠物を脱ぎ捨てる。 頬に落ちたのは、セルベリアと同じ銀の髪……ではなく、イサラやザカと同じ 紺色の髪。ガリア公ランドグリーズ家は、ダルクス人の血統だったのだ。 コーデリアは語る。数千年前、北方からの侵略者・ヴァルキュリア人に対して ダルクス人は抵抗した。だがその力の前に次第に追い詰められ、そして遂に ある有力な豪族がヴァルキュリア人に寝返るに至り、ダルクス人は敗北した。 その “ダルクスを裏切った豪族” と言うのが即ち、ランドグリーズ家。 裏切りの褒章として、ヴァルキュリア人からガリアの統治を任されたのだ。 偽りをもって国を統治することに悩み、いつしか考える事も、意思を持つ事も 放棄するようになった。だがある将校と出会って、その過ちに気付かされた。 そう言って、コーデリアは短剣を抜く。だがやはりマクシミリアンは倒せない。 その頃、軍刑務所内のファルディオ。ランドグリーズ城に帝国戦艦が突っ込み そのまま何やら工事をしているらしい、と聞いてすぐにその目的に思い当たる。 こんな所にいる場合ではないと仮病を使って脱獄する。 コーデリアに対し、婚姻証書への署名を強要するマクシミリアン。 そこへヴァーゼル防衛部隊の敗北と、義勇軍中隊進撃の知らせが入る。 そして首都に流れるラジオ放送。人々に希望を知らせるその声は従軍記者 エレットのもの。マクシミリアンはマーモットでの出撃を決意。相も変わらず おべっかを述べる宰相ボルグを「信用できん」として、兵士に銃殺を命じる。 マーモットが動き出す。後退する動きに合わせ、城の前部にあった尖塔が 引き出される。崩れる塔の中から現れたのはヴァルキュリアの石槍。しかし その大きさはセルベリアやアリシアが使った物とは比べ物にならない。 マーモットはその背に巨大な石槍を載せる。そのためのマーモットだった。 “聖槍” の巨大な光はマーモット正面に展開していた義勇軍第4・第5小隊を 消滅させ、大地を一直線に焼き、遥か彼方の山を砕く。 いち早く退避していた第7小隊は、コーデリア姫の援護を受けつつ側面から 機銃の雨を掻い潜ってマーモットに取り付き、何とか “聖槍” を破壊する。 108 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/15(日) 23 46 06 ID 22BytXjO0 【終章:最終決戦】 ……の続き 停止したマーモットの機関部を探して上部甲板に登る第7小隊の面々。 その前に立つマクシミリアン。携えるのは機械式のヴァルキュリアの槍と盾。 単身で現れた彼に、なぜここまでして戦う必要があるのかと問うアリシア。 マクシミリアンは答える。己の野望のため、そして帝国に復讐するためだ、と。 帝国皇帝の息子として生まれながらも、母の身分が低いために疎んじられ、 皇位継承を巡る争いによって謀殺されかけた。母を始め多くの人が死んだ。 その時に帝国と、その帝位を奪う事を誓ったのだと。 「余の戦いは、まだ終ってはいない!」 撃破されても敗北を認めないマクシミリアン。人造とはいえヴァルキュリアの 力を持つ彼は、命を賭した “最期の炎” を以って全てを焦土と化そうとする。 だが、突然マーモットからのラグナイト供給が停止し、力は失われる。 動揺するマクシミリアンを背後から捕らえたのは、軍刑務所を脱獄した後に マーモットに潜入し、ラグナイト供給を停止させた張本人・ファルディオだった。 ファルディオはそのままマクシミリアンを甲板前部の縦孔へと引き摺っていく。 仲間を撃った罪滅ぼしだと言い、ウェルキンとアリシアの二人に「幸せにな」 と言い残して、マクシミリアンもろともファルディオは縦孔へ身を投げた。 縦孔から膨大なラグナイト光が吹き上がる。爆発で生じた炎が小隊を分断。 ウェルキンとアリシアは甲板前部に取り残されてしまう。最後の命令として 炎の向こうの小隊員に脱出を命じるウェルキン。二人は何とかならないかと 艦橋部に登るが、それでも炎は迫り、飛び降りるにも大地は遠すぎる。 死を覚悟した二人に、突然空から声がかかった。 見上げた先には一機の飛行機。操縦するのは整備開発部員のリオン。 そして飛び来る機体に書かれているのは、今は亡きイサラの名。 間一髪で救出された二人に、リオンは言う。イサラがいなくなってしまった後 整備員だけでなく、小隊のみんなで少しずつ作り続けていたのだと。 皆に受け継がれ完成されたイサラの飛行機で、二人はガリアの大地に戻る。 109 :戦場のヴァルキュリア:2009/02/15(日) 23 46 38 ID 22BytXjO0 【ED】 この戦いの後、ガリア公国と帝国との間で休戦協定が締結。 終戦と共に義勇軍・第7小隊も解散した。 退役して農業を始めたラルゴ。その彼と結婚したエレノア(=バーロット) 歌姫としてヨーロッパを巡りつつ、イサラの命日には必ず帰国するロージー。 持ち前の技術力を活かしてファウゼンに玩具工房を開いたザカ。 真実を公開しながらもその誠実さで支持を受け、ガリアを統治するコーデリア。 そして惜しまれつつも軍を退役し、ブルールに戻って教師となったウェルキン。 彼の妻としてパン屋を経営するアリシア。その足元にはハネブタのハンス。 アリシアの移動式のパン屋の中には、母を手伝う娘の姿が。 教え子と虫を捕りに行く約束をして帰ってきたウェルキンが娘に声をかける。 「イサラ、いい子にしてたかい?」 エーデルワイス号を背景に、ファルディオやバーロット、もう一人のイサラと 第7小隊の面々が揃った写真が、パン屋のカウンターに飾られている。 -END 110 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/15(日) 23 53 53 ID 22BytXjO0 以上で戦場のヴァルキュリア終了 EDのラルゴとバーロットが何か唐突に見えるけど この二人は前大戦の頃兵士として同じ部隊に所属してて ゲーム内でもそこそこ仲が良い&進展してます 断章でしか語られてないから書く機会が無かったけど 次回作の要望とか出てるらしいですが もし出るならフィラルド独立戦線でイェーガーにコキ使われる 小隊長がやりたい俺イェーガー大スキー
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Pack Basic カードNo B-008 種類 ユニット レアリティ R 名称 バルキリークララ 属性 赤 種族 精霊 CP 3 BP 3000/4000/5000 アビリティ ■聖女の加護このユニットはブロックされない。 コスト3でBP3000と重く弱いが、ブロックされないという、常に浮遊術の状態という能力を持つ。 アビリティのアイコンは次元干渉が表示されており、【次元干渉/コスト0】とも言い換えられる。 妨害されなければ毎ターン1点ダメージ与えることができ、特に除去手段が限られた緑にとっては厄介なユニットになる。 確実にプレイヤーアタックが成功するので、それを条件とするトリガー、インターセプトカードと相性がよい。 手札でオーバーライドをし、Lv3の状態から場に出すか、インペリアルソードがあれば、召喚したターンに1点ダメージを与えることができる。 プリティベルと世界樹の恵みによるサーチが効くため、Lv3にするのも難しくない。 基本的に1ターン限りの使い捨て要員と割り切り、「返しのターンまで生き延びればラッキー」程度の気持ちで殴りに行かせるのも1つの手。 逆に言えば除去さえされなければゲーム終了まで持っていくこともできる。 しかしBPの低さゆえに、サポート無しでは次のターンまで生き残ることが難しい。 一騎当千の神器などで補強しても、基本的に「毎ターンに1点ダメージ」以上のことはできない。 フィールドには影響を及ぼさないため、最終的にダメージレースで押し負ける、という展開になりがち。 「アヴァロンの鍵」のキャラクターの1人。そちらでの能力は「先制/相手の先制を避ける」と、COJと違い防衛戦向けのカードとなっていた。能力名の「聖女の加護」も「アヴァロンの鍵」においてバルキリークララが描かれた戦闘支援カード。こちらもCOJと異なり防御向けのカードである。 アヴァロン時代は攻撃時にパンチラしていたが、今作ではポーズの都合上無しに。 元ネタの「色の役割よりフレイバーを重視したデザイン」になっているが、元々が防衛 カウンター向けのデザインだったため「再現・フレイバー重視が出来ていない」という中途半端なカード。 関連カード 「アヴァロンの鍵」シリーズ由来のユニットカード。 ジャンプー メガジョー 鬼ブル クマゴロウ フィフティニー ユキ・ダルマン KP コメント ※この入力欄は検索枠ではありません。 各書き込みの冒頭のラジオボタンをチェックしてから書き込むと、その書き込みへのレスになります。 ▼全文表示する
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Last Update 2012/08/20 19 45 03 《バルキリーローザ》 属性 黄 移動色 ●● 攻撃 15 能力 [戦闘時]発動「天使長クリオラ」が手札にある場合、[避け無効]「バルキリークララ」が手札にある場合、[先制]、[先制避け][戦闘勝利時]発動次の行動開始時、自分がホルダーだった場合、すべてのプレイヤーを目的地の祠へ移動させる※チェイサーは気絶状態になる レア SR 種族 精霊 耐久 15 SRらしいロマンあふれる能力を持つ。 まず戦闘時能力だが、《天使長クリオラ》があれば避け無効、《バルキリークララ》があれば先制及び先制避けと、それぞれの持つ能力を得られる。 両方が手札にあれば反射以外は怖くないため、攻撃値を上げつつ反射無効を付加できる《威圧のオーラ》と相性が良い。 防衛時は手札に赤が残ってさえいれば《バルキリークララ》の能力を警戒させられるのがポイント。 相手としては《名刀の刃紋》などで先制 避け無効を付加できないとなかなか攻めづらいだろう。 戦闘勝利時効果に関しては全員巻き込む《プラテウム》のようなもの。 得られるメリットは大きいが他のプレイヤーもそのメリットを享受できるので、嫌われがちな《セラフィー・ルカ》とは対極のカードと言える。 テレポートと違って移動先に対立モンスターがいる場合でも即座に戦闘にはならないので、準備を整えてから挑むことが可能。 強力な能力を持つ反面、戦闘時能力の条件である両者もバルキリーローザ自身も移動値が低いため移動事故を起こしやすいデッキになりがち。 バルキリーローザで鍵戦闘に勝利できれば移動する必要がないのである程度はカバーできるが、いざという時にはハンドコストに出来る様にしておくと良いだろう。 また、《天使長クリオラ》自体も侵略においては非常に優秀なので状況によってはそちらで侵略することも考えた方がよい。 戦闘勝利時能力はサミットと呼ばれることがある。詳しくはこちらを参照。 ▲ クララはアタッカーとしてかなり優秀なカードではないだろ・・・ -- 名無しさん (2011-12-20 14 30 03) クララはむしろディフェンダーとして使った方が優秀だね。クララとローザが両方手札にあればクララで攻める利点はほとんどないし修正した方がよさげ。 -- 名無しさん (2011-12-20 21 22 50) 名前 コメント